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ゴボウ:日常的に食べるのは日本だけ─外国人には泥まみれの木の根っこ?

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現在主流の品種は、なんと東京生まれ。土くさいようで意外と都会っ子なゴボウ、冬場は目にする機会が多い。

ゴボウは秋から冬を最盛期とし、1年中、店頭に並ぶ。日本人にとってはごく身近な野菜だが、「日本人は木の根っこを食べている!」と海外から奇異な目で見られることも。とはいえ、大地の滋味あふれる味わいと歯応えは他に代え難い。

ゴボウの原種はユーラシア大陸各地で見られ、ヨーロッパや中国では薬草として扱われてきた。日本では平安時代の文献に食用として登場し、各地で栽培が始まる。江戸時代には、現在の東京都北区滝野川付近で改良と採種が重ねられた結果、優良品種が誕生。現在全国に流通するゴボウの9割以上は、この「滝野川ゴボウ」の系統とされる。

長さ1メートルにもなる「滝野川ゴボウ」(写真提供:東京都農林水産振興財団)
長さ1メートルにもなる「滝野川ゴボウ」(写真提供:東京都農林水産振興財団)

生産量は青森県が突出しており、茨城県や北海道、宮崎県も多い。太く短い京野菜の「堀川ごぼう」や水田で育てる「菊池水田ごぼう」など、地方色豊かな品種・ブランドも存在する。

「堀川ごぼう」(写真提供:京都市産業観光局農林振興室農林企画課)
「堀川ごぼう」(写真提供:京都市産業観光局農林振興室農林企画課)

ゴボウの栄養はなんといっても豊富な食物繊維で、便秘予防に効果的。カリウムやマグネシウムなど、ミネラルも多く含む。調理中から色が黒ずむのはポリフェノールが豊富な証拠で、老化や生活習慣病の予防に役立つ。

おせちに欠かせない縁起物

ゴボウは地中深くに長く伸びることから「健康長寿」の象徴であり、家の土台がしっかりする、家業が土地に根付くとして「家内安全、家業安泰」も意味する。おせち料理に欠かせない縁起物だ。

そんな深く根を張るゴボウは容易には抜けず、一本一本、丁寧に収穫しなければならない。マラソン駅伝の実況では、高速ランナーが何人もの選手を一気に追い抜く場面で「ゴボウ抜き」という表現が使われることが多いため、ゴボウがスッと抜けるように誤解されているが、本来的には「地道に1人ずつ追い抜く」ことを「ゴボウ抜き」というのが正しい用法。ちなみに、重労働のゴボウ抜き(収穫作業)、近年は専用の機械を使う農家も増えているという。 

「滝野川ゴボウ」収穫(写真提供:東京都農林水産振興財団)
「滝野川ゴボウ」収穫(写真提供:東京都農林水産振興財団)

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【資料】

取材・構成:イー・クラフト

バナー写真:PIXTA

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