今週の歴史を振り返る:This Week in Japanese History

今週の歴史を振り返る:3月30日~4月5日

3月30日

旧国立競技場が竣工

1958(昭和33)年 明治神宮外苑競技場の跡地に国が整備を進めていた国立競技場(正式名称「国立霞ケ丘競技場」)が完成し、竣工式が行われた。この年5月の第3回アジア競技大会のメイン会場としてわずか1年の工期で造られた。同大会で日本の戦後復興を世界にアピールし、1964年五輪の東京開催につなげた。国立競技場は64(同39)年の東京五輪でもメインスタジアムとして開・閉会式、サッカー、馬術競技(大賞典障害飛越)に使われた。新国立競技場建設のため、2015年5月に閉場。

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ゴッホのひまわり、58億円で落札

1987(昭和62)年 安田火災海上保険(損保ジャパン日本興亜の前身の一社)がゴッホの『ひまわり』を58億円で落札した。1枚の絵画に付けられた価格としては当時、史上最高額だった。バブル経済期の日本企業による巨額投資の一事例として、海外メディアでも大きく取り上げられた。ゴッホはひまわりの画題で7点を描いたといわれ、唯一日本にあるのがこの作品。安田火災が同社の美術館の目玉として、後藤康男社長(当時)の決断で、英クリスティーズのオークションで競り落とした。

3月31日

明治政府が鉄道国有化を決定

1906(明治39)年 国が全国の主要私鉄を買収し一元的に経営するため制定した法律「鉄道国有法」を公布した。日露戦争の経験から軍事輸送を効率的に行うには、国が一貫して全国の鉄道網の運営や構築を担う必要があるとの声が高まった。重工業化の進展で、産業界からは鉄道による原材料や製品の輸送力強化も求められた。同法に基づき政府は北海道、日本、甲武、関西、山陽、九州など17私鉄を買収した。急拡大した国有鉄道の運営と、私鉄の監督組織として08年12月に「鉄道院」を設置し、初代総裁に後藤新平が就任した。20(大正9)年には「鉄道省」に昇格。終戦後は公社の日本国有鉄道(国鉄)に移管され、87(昭和62)年の国鉄民営化に伴い鉄道国有法も廃止された。

4月1日

消費税、3%でスタート

1989(平成元)年 原則として全ての物品やサービスの価格に一律の割合で課税する「消費税」が税率3%で導入された。日本は、国の財源に占める所得税や法人税などの直接税の割合が大きく、景気変動による税収額の振れが大きい。間接税である消費税は景気の影響を受けにくく税収を安定化できるというのが、導入の理由に挙げられた。竹下登首相が導入を決断したが、リクルート事件による政治不信の責任も負って当初予算成立後に首相を辞任した。

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4月2日

アニメ『ドラえもん』の放送始まる

1979(昭和54)年 テレビ朝日がアニメ『ドラえもん』を放送開始。第1話は「ゆめの町、ノビタランド」。2019年4月5日には放送40周年を記念し、この第1話をリメークした作品を放映した。1970年、小学館の小学生向け学年別学習雑誌の掲載からスタートした藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』は、74年の単行本化を機に子どもたちの間で爆発的に人気が広がった。その勢いを借りてテレビに登場した作品は国民的アニメとして愛され、現在も続く長寿番組となった。実は、73年に別の民放が『ドラえもん』をアニメ化したが、視聴率が低迷し、わずか半年で終了。DVD化もされることなく、現在では見ることのできない幻のテレビアニメとなっている。

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4月3日

お江戸「日本橋」、石造アーチに架け替え

1911(明治44)年 東京都中央区の日本橋川に架かる「日本橋」が現行の石造二重アーチ橋として完成した。江戸幕府の開府とともに架橋されてから、日本橋は幾度となく改修と改架を繰り返してきた。明治初期の木造橋に替わる近代的な橋として08(明治41)年に着工された。完成した橋は長さ49メートル、幅27メートル。十分な幅員と耐久性を備え、麒麟(きりん)と獅子の青銅像などの装飾を加えた風格のある橋となった。江戸初期から日本橋は五街道の起点に定められ、現在も道路元標が設置されている。

63(昭和38)年、橋の上空を覆うように首都高速都心環状線が建設され、美観が著しく損なわれた。東京五輪に間に合うよう高速道を整備するため、用地買収の交渉が不要な河川上空に建設した。環状線の一部を地下化して日本橋の景観を復元する計画が進んでいる。99(平成11)年、国の重要文化財(建造物)に指定。

トヨタが工販分離、経営危機を回避

1950(昭和35)年 経営危機にあったトヨタ自動車工業が再建策として、販売部門を分離しトヨタ自動車販売を設立。自工・自販の分離体制が始まった。危機は、国の緊縮財政政策による不況に加え、販売代金の回収が滞ったため。経営の先行きに不安を覚えた銀行から貸し渋りに遭った。この苦境を打開するため、工販分離で販売部門と製造部門の資金使途を明確化させた。販売会社が割賦販売制度を確立し、販売代金の回収を販社が責任をもって行う体制にした。これにより、トヨタに対する銀行団の信用が回復。自工は「かんばん方式」の導入、乗用車分野への本格進出などで上昇軌道に乗った。自販も造り酒屋など各地の老舗企業と組んでディーラー網を全国に張り巡らし、「販売のトヨタ」といわれる営業力をつけた。

4月4日

機密漏えいで毎日新聞記者逮捕

1972(昭和47)年 沖縄返還交渉に関する外務省公電漏えい事件で、警視庁が毎日新聞社の西山太吉記者と同省女性事務官を逮捕した。事務官は国家公務員法の守秘義務違反で、西山記者は事務官に資料を持ち出させたとして、同法違反で東京地検に起訴された。事務官は一審で有罪判決を受け控訴せずに確定。同記者は国民の知る権利や表現の自由などを理由に取材の正当性を主張したが、起訴状の「ひそかに情を通じ」が入手方法の不当性を印象づけた。二審の有罪判決(懲役4月、執行猶予1年)を不服として上告したが、最高裁は「正当な取材活動の範囲を逸脱している」と上告を棄却。同記者の有罪が確定した。公電は、米側の負担とした返還関連経費を、実際には日本政府が支払うとの「密約」の存在を示す文書だった。同記者が公電コピーを野党議員に渡し、議員がこれを使って国会で政府を追及。政府が情報漏れルートを突き止め、2人の逮捕につながった。

NHKの朝ドラ『おしん』がスタート

1983(昭和58)年 NHK朝の連続テレビ小説『おしん』が始まった。原作・脚本は橋田壽賀子。山形の貧農に生まれた女性の苦難の一生を描き、翌年3月末までの1年間の平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%と驚異的な数字を記録した。公募で選ばれた小林綾子が7歳から10歳までの「おしん」を演じ、16~45歳を田中裕子、50~83歳は乙羽信子と、実力派女優を配した。いまだに根強い人気がありBSなどで再放送されている。アジア、中東、中南米を中心に世界各国で放映され、日本の発展とともに歩んだ女性実業家の物語が感動を呼んだ。

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4月5日

山崎さんスペースシャトルで宇宙へ

2010(平成22)年 米航空宇宙局(NASA)がケネディ宇宙センターからスペースシャトル「ディスカバリー」を打ち上げた。シャトルには山崎直子さんら7人が搭乗。国際宇宙ステーション(ISS)に滞在し、移送物資の管理や作業の指揮を担当した。日本人女性の宇宙飛行は向井千秋さん以来11年半ぶりだった。米国が翌年、スペースシャトル計画から撤退したため、日本人として最後のシャトル搭乗者となった。

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