ミニシアターを救おう! コロナウイルス禍による存続危機に映画人が支援呼びかけ

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新型コロナウイルス感染の急激な拡大を受け、7都府県に緊急事態宣言が発出され、大半の映画館が休業に入った。国の経済的支援が不明瞭な中、特に小規模映画館には存続の危機が迫る。そんなミニシアターを救おうと、映画人を中心に支援の輪が広がりつつある。

緊急事態宣言に先立つ今月6日、俳優や監督をはじめとする映画関係者31人と3団体の呼びかけによって、「#SAVE THE CINEMA ミニシアターを救え!」と名付けられたプロジェクトが発足、政府および国会議員に支援を求める要望書を公開し、賛同する人々の署名を集めている。

要望書では、ミニシアターが単なる娯楽施設にはとどまらず、日本の映画文化の中核を担い、地域やコミュニティに多様な文化芸術体験を提供する重要な拠点であることを強調し、支援の必要性を訴えた。

まずは緊急の支援として、これまでに外出自粛要請や感染拡大防止対策によって生じた損失の補填を求めるとともに、事態の収束後も、集客を回復させるためのさまざまな広報活動やイベントに向けた支援の継続を検討するよう促している。

呼びかけ人には是枝裕和白石和彌といった映画監督のほか、安藤サクラ、井浦新、柄本明らの俳優も名を連ねる。5万人の賛同者を目標にスタートした「#SAVE THE CINEMA ミニシアターを救え!」は、13日正午の時点で4万8000人の署名を集めている。

世界の映画人が賞賛する日本のミニシアター文化

またこれに連携して、濱口竜介深田晃司両監督が発起人となり、クラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」を立ち上げ、13日午後よりインターネット上で募金を開始した。

深田監督は今回の声明で、日本のミニシアターが、国の支援が少ないにもかかわらず、独自の発展を遂げてきたことに触れ、「日本を訪れた世界の映画人が等しく感嘆と賞賛の声を挙げる」と指摘。これが衰退した場合の文化的損失について、危機感を喚起した。

さらに深田監督は、ミニシアターが映画の多様性にとって重要であること、そればかりか世界の多様性そのものに貢献し続けてきた側面にも言及する。ミニシアターでしか上映されないような作品の数々は、「耳に届かない声、目に見えない感情を可視化」してきたとして、多様な価値観を伝え、民主主義を守ることにもつながっていると強調した。

他の業種にも広がるイニシアチブに

濱口監督は、自身もミニシアター文化に恩恵を受けてきたと認める。市民団体や個人といった「有志」によって支えられ、彼らが利益よりも「映画というメディアがこの世界において持つ価値」を信じて運営してきたことを訴え、その志がこの未曽有の状況によって打ち砕かれかねないことに警鐘を鳴らした。

その上で、「お金に負けずに志を持ち続けるためには、最低限のお金がやはり必要」と続ける濱口監督。危機に瀕しているのがミニシアター業界に限らないことに理解を示しながら、この基金を「一映画ファンとして映画ファンコミュニティでの『互助』を可能にするため」の試みと位置づけ、「同様の試みが、必要とされる、あらゆるジャンルで『有志』によって始まることを願っています」と結んだ。

このクラウドファンディングの呼びかけは、冒頭で述べたように、政府と国会議員への支援要求と連携して行われている。しかし公的機関が動くまでに時間がかかることは、これまでに誰もが見てきた通りだ。また行政が、文化事業を「不要不急」と捉えて後回しにしかねない懸念もある。今回の映画人たちの緊急アクションは、公的補助を得られるまでの「つなぎ」として機能する。新型コロナウイルス感染によって壊滅的な打撃を受けるさまざまな業界にとって、新しい気運を作り出すことも期待される。

(バナー写真:クラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」の発起人、深田晃司監督=左と濱口竜介監督)

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