「カップヌードルミュージアム 大阪池田」でオリジナル麺を作ろう:フォトギャラリー

世界で毎年1000億食近くが消費されている「インスタントラーメン」。その発祥の地にある「カップヌードルミュージアム 大阪池田」をご存じだろうか。開発秘話を紹介する展示や多彩なアトラクションを通して、子どもから大人まで「おいしさ」と「ひらめき」を学べるテーマパークの全貌を紹介する。

ンスタントラーメン誕生物語を視覚的に体験

「カップヌードルミュージアム 大阪池田」がある大阪府池田市は、今から約60年前に起業家の安藤百福(あんどうももふく、日清食品創業者)が、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を発明した街。後に世界的ヒットを記録する、「カップヌードル」誕生の原点となった場所でもある。

チキンラーメンの初代パッケージ

ミュージアム入り口に立つ安藤百福像。手にはチキンラーメン

目を楽しませるグラフィカルな仕掛けで、2つの大ヒット商品の歴史が学べることで話題となっている。チキンラーメンを一から手作りできるアトラクション、自分だけの特製カップヌードルが作れるコーナーは特に人気が高い。

モダンな石造りのミュージアム外観。運営は、安藤が私財を投じて設立した「安藤スポーツ・食文化振興財団」が行っている

「!」を3つ並べたロゴは、カップヌードルのパッケージから着想を得た佐藤可士和氏がデザイン

まずは1階の展示フロアを巡り、安藤百福の波乱万丈な生涯と、常識を越えた発想やアイデアに触れてみよう。

近未来的な空間デザインが目を引く館内。子どもの目線で楽しめる仕掛けや展示も数多い

最初に目を引くのが10平方メートルほどの木造小屋。これは1958年、安藤百福が48歳にして、お湯を注ぐだけで食べられるチキンラーメンを発明した研究小屋を再現したものだ。

お世辞にも立派とは言えない建物内には、鍋やざる、小麦粉など、ありふれた道具や材料ばかりが並ぶ。しかし、そこには「特別な設備がなくても、アイデアがあれば世界的な発明が生み出せる」というメッセージが込められているようだ。

自宅裏庭に建てた研究小屋を再現。47歳の時に事業が破綻して無一文になったが、不眠不休の努力で商品を発明した

小屋の内部。発明のヒントとなったのは、仁子(まさこ)夫人が揚げていた「天ぷら」だった

チキンラーメンが空前のヒットとなる過程を紹介するパネル。1日400食の製造から始まり、5年後に年商43億円までに成長したという

続く見どころは、安藤が61歳で発明し、国境や文化を越えて爆発的ヒットとなった「カップヌードル」の誕生ストーリー。米国視察中にひらめきを得た後、数々の画期的な技術を開発し、夢を具現化していく過程を追体験できる。

71年に発売したカップヌードルの初代パッケージ

カップヌードル誕生のエピソードをアニメーションで紹介するシアター(写真右手)。英語と中国語のオーディオガイドも用意されている

安藤は95歳で宇宙食ラーメン「スペース・ラム」を完成させた。無重力状態でもスープが飛び散らない工夫が凝らされ、2005年に野口聡一宇宙飛行士が宇宙空間で実食した

チキンラーメンの発売から現在まで、インスタントラーメンの進化が分かる「インスタントラーメン・トンネル」。日清食品の商品が時系列で約800種類も並ぶ

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大人も夢中になるチキンラーメン作り

ミュージアム一番の目玉は、チキンラーメン作りが体験できる「チキンラーメンファクトリー」。1日4回開催されているが、連日満席が続く大人気アトラクションだ。

あまりの楽しさに筆者も取材を忘れて大はしゃぎ

人気の秘密は、参加者が自ら小麦粉をこね、麺を打ち、油で揚げて乾燥させるまでの全ての工程が体験できるところにある。手作りすることで、ものづくりの楽しさはもちろん、60年前の「発明の原点」も体験することができるのだ。

とてもシンプルな材料は、小麦粉やかん水、調味料など

材料を混ぜて手でこねた後、麺棒で押さえていく

作業時間は90分で、2人1組のペアで行っていく。常にスタッフさんがやさしくサポートしてくれるので安心。麺作りは、無心に手を動かすのが楽しく、次第に誰もが作業にのめり込んでいく。

製麺機を使い、さらに生地を薄くなめらかにする

麺を食べやすい長さにカット

麺を蒸して調味料をもみ込んだ後、油で揚げれば完成。スタッフさんいわく、「油で揚げる」ことで瞬時に乾燥できると同時に、お湯を注げばすぐに柔らかく戻るのだそう。これがまさに安藤が発見した技術「瞬間油熱乾燥法」というから興味深い。

揚げたての麺の折れくずを、ひと口味見することができる。おいしい!

パッケージを自分でデザイン。次第に愛着がわいてくる

参加者のおみやげ。自分で作ったチキンラーメンに、既製品1点とバンダナが付く

ファン垂ぜん! 自分だけの「カップヌードル」を手に入れろ

同じく大人気なのが「マイカップヌードルファクトリー」。世界にひとつだけの特製カップヌードルにカスタマイズできるコーナーだ。

nippon.comオリジナルのカップを作成

まずは自動販売機で専用カップを購入し、カップの絵柄をデザイン。それをトッピングカウンターに持っていき、麺をセットし、好きなスープと具材を選べばOK。予約不要で、手順も簡単なのがうれしい。

まずはカップのデザインから。裏側にはイラストを描けるスペースも

スープは「しょうゆ」「シーフード」「カレー」「チリトマト」の4種類から1つを、トッピング具材は12種類の中から4つを選ぶことができる。味の組み合わせは5460通りにもなるというから、具材選びにも力が入ってしまう。

期間限定の特選具材があるのも楽しい

具材が決まれば、ふたをしてラッピング。工場と同じ工程が見学できる

梱包(こんぽう)用のエアパッケージに空気を入れれば完成。写真撮影にご協力くださったのは、日清食品ホールディングス広報の佐藤瞳さん

ちなみに、「いろいろ体験したら、おなかがすいてきた」という人には、同じフロアにある「テイスティングルーム」がおすすめ。定番商品や地域限定のカップ麺を購入し、その場で味わうことができる。

こちらは人気の撮影スポット。壁一面に、世界各地で販売されているカップヌードルが並ぶ

安藤の創造的思考に触れ、人生に新しい刺激とアイデアを

最後に訪ねたいのは、2階にある「安藤百福の軌跡」コーナー。彼は96年間の生涯を、「クリエーティブな発想力」と「最後まであきらめない執念」で新しい食の創造にささげた。そんな安藤ゆかりの品々や、厳しくも温かなメッセージが展示されている。

2018年は、チキンラーメン誕生60周年。秋には、NHKの連続テレビ小説で、安藤百福とその妻・仁子がモデルとなる「まんぷく」が放映される予定だ。ぜひ、この機会にミュージアムを訪ね、安藤の情熱やチャレンジ精神に触れてほしい。

安藤の生前の愛用品や数々の賞状、褒章が並ぶ

安藤が新年に毛筆でしたためていた「年頭所感」

【施設データ】
カップヌードルミュージアム 大阪池田

  • 住所:大阪府池田市満寿美町8-25
  • TEL:072-752-3484
  • アクセス:阪急宝塚線「池田駅」より徒歩5分
  • 駐車場:あり・有料(300円/60分)
  • 営業時間:午前9時30分~午後4時 (入館は午後3時30分まで)
  • 定休日:火曜日(祝日の場合は翌日が休館)、年末年始
  • 入館料:無料
  • アトラクション利用料:「チキンラーメンファクトリー」小学生 300円 / 中学生以上 500円(共に税込み)、所要時間90分(午前9時30分 /午前11時 /午後1時/ 午後2時30分開始)、要予約(ネット予約 または専用ダイヤル072-751-0825にて)。「マイカップヌードルファクトリー」1食 300円(税込み)
  • 公式ホームページ:https://www.cupnoodles-museum.jp/ja/osaka_ikeda/

取材協力=日清食品ホールディングス株式会社
取材・文=山口 紀子
写真=山崎 純敬

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