フライパン:ずっしり重たい “100年使える” 逸品 ─ 中華圏の観光客が重視するのは?
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燕三条の企業と5年かけて開発
どの家にも1つはあるフライパン。アルミ製の本体にフッ素樹脂を塗布したタイプが最も一般的だ。焦げ付かないので調理も手入れも楽なのが人気の理由。数年使うとコーティングに傷が付いたり、はがれたりするが、手頃な価格のものが多いので気兼ねなく買い替えられる。
しかし、飯田屋の6代目社長・飯田結太さんは「親から子へ受け継いで100年使えるフライパンを作りたい」と考えた。さびにくいステンレスで、焦げ付きにくく、壊れにくい一体成型、耐久性を考えたら3ミリは厚みが欲しい。協力してくれる金属加工メーカーを探したが、「一般受けしない」「買い替え需要がなくなる」と、どこからも断られたという。

料理道具の研究室で話す飯田さん。メーカーに根気強く問い合わせを続けた
これに「やってみましょう」と応じたのが、世界で初めて200V用IH(電磁調理器)鍋を開発した実績のあるフジノス。金属加工技術の高さで知られる新潟県・燕三条の企業だ。試行錯誤の末、「膨大な極細の打ち目を放射状に施す」という世界でも例のない加工を編み出した。構想2年・開発3年で、2017年に完成した理想のフライパン。代々受け継いで使ってほしいという思いを込め「エバーグリル」と名付けた。

ステンレス製のエバーグリルを手にするスタッフ。売り場にはさまざまなフライパンが並ぶ
細かい打ち目があることで、ステーキを焼いても焦げ付きにくい。熱をゆっくり伝えるので肉汁が流れ出さず、表面はカリッと、中はふっくらジューシーに焼き上がる。2019年にテレビ番組で紹介され、グッドデザイン賞を受賞すると人気に火がつき、生産が追い付かないほどのヒット商品となった。
エバーグリルには窒化鉄製もある。ステンレス製よりも一段と重く、価格も高いが、鉄製の方がよく売れるという。「鉄製は油なじみが良く、油膜を育てやすいんです」と飯田さん。鉄フライパンの良さを知る人が求めるのだろう。
軽さで選ぶならチタン製
エバーグリルは「重いのは嫌」という人には向かない。「特に中華圏の方は、調理の際に鍋をあおる(振る)ので軽さを重視します」と飯田さん。中国・台湾方面からの訪日客によく売れるという純チタンのフライパンも、燕三条のメーカー製。板厚1.2ミリ、直径26センチで560グラムと驚きの軽さだ。毎日のように使うフライパン、よく見極めて自分に合った品を選びたい。
【今、訪日客に売れている!ひと味違う「和の料理道具」10選】
撮影=野村和幸(特に記載のある画像を除く)
バナー写真:ステンレス製と窒化鉄製の「エバーグリル」(撮影=ニッポンドットコム)


