新語・流行語・今年の漢字

2025年の新語・流行語大賞は「働いて働いて働いて」 : 「二季」「クマ被害」など環境変化も

社会

「いよいよ年の瀬」を実感する新語・流行語大賞に選ばれたのは、高市早苗首相の決意表明「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」。令和の時代になってもまだ昭和が続いているかのようなワークライフバランス度外視で働かなければ、“ガラスの天井” は突き破れなかったということか…。

今年の世相を表す言葉を決める「2025年 T&D 保険グループ新語・流行語大賞」(自由国民社『現代用語の基礎知識』選)の年間大賞とトップ10が12月1日、発表された。

年間大賞、トップ10の新語・流行語

【年間大賞】働いて働いて働いて… / 女性首相

昭和100年目にあたる2025年、高市早苗氏が憲政史上初の女性首相に就任したことは、「新語・流行語」の枠を超えて、今年を象徴する出来事と言っていいだろう。

小泉進次郎氏との決選投票を制して自民党新総裁に選出された際に、「全員に馬車馬のように働いてもらう。私自身もワークライフバランスという言葉を捨てる。働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」と決意表明。

官民挙げて取り組んできた「働き方改革」をいきなり全否定? 昭和でもあるまいし、「不適切にもほどがある」 と言いたいところだが、ジェンダーギャップ指数下位グループ常連の日本では、ワークライフバランスを度外視して働いて働いて働かなければ初の女性首相には上り詰めることはできないということか…。

選考委員の神田伯山さんは「あらゆるエンターテインメントよりも政治の動向そのものが、それを超える『エンタメ』のような群像劇を感じられた」とコメントした。

衆院予算委員会に臨むにあたって、高市首相が秘書官らを集めて午前3時から公邸で勉強会を開催したのは冗談のような本当の話。ちなみに、新語・流行語大賞の銅賞に「24時間タタカエマスカ」が選ばれたのは1989年のこと。令和になっても “昭和” を脱せない日本。

【トップ10】

トランプ関税

米大統領選挙で勝利し再登場したトランプ大統領が各国に対して一方的な関税引き上げを打ち出し世界経済は混乱に。赤沢亮正経済再生担当相は約半年間に10回も訪米してしぶとく交渉、27.5%まで引き上げられた自動車関税を15%に引き下げるなど一定の譲歩を引き出したが、もともと2.5%だった税率からはとてつもなく高い状態。

トランプ大統領がサインしたMAKE AMERICA GREAT AGAINキャップをかぶってポーズをとる赤沢亮正経済再生担当相(2025年4月16日)(ZUMA Press Wire via Reuters Connect)
トランプ大統領がサインしたMAKE AMERICA GREAT AGAINキャップをかぶってポーズをとる赤沢亮正経済再生担当相(2025年4月16日)(ZUMA Press Wire via Reuters Connect)

エッホエッホ

自然・野生動物専門の写真家ハニー・ヘーレが捉えたメンフクロウのヒナが草むらを懸命に走る写真が話題に。その姿に「エッホエッホ」という擬音を添えた画像がSNSで拡散された。

緊急銃猟 / クマ被害

クマやイノシシが人の生活圏に出没した際、市町村長の判断で市街地での銃猟を可能とする制度が9月1日から導入された。生活圏に出没するアーバンベアが一段と増え、岩手県や秋田県を中心に人身被害が急増。

国宝(観た)

任侠の家に生まれた喜久雄が、歌舞伎名門の家に引き取られ、芸に人生を捧げた50年を描く。3時間の長尺にも関わらず実写邦画として異例の大ヒット。この映画をきっかけに歌舞伎観劇デビューした人も多い。

©吉田修一 / 朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会 全国東宝系にて公開中
©吉田修一 / 朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会 全国東宝系にて公開中

古古古米

「令和の米騒動」で政府が備蓄米を放出、安価なコメを買い求める行列が各地で発生。1年ごとに「古米」「古古米」「古古古米」と「古」が増えていく呼び名にも注目が集まった。

戦後80年 / 昭和100年

2025年は「戦後80年」「昭和100年」の節目の年。さまざまな番組企画や関連書籍の刊行が相次いだ。

二季

酷暑が続いた日本列島。地球温暖化の影響で春夏秋冬の季節の移ろいが薄れ、夏と冬の二季化している状況。

ミャクミャク

大阪・関西万博の公式キャラクター。誕生当初は不気味、怖いなどと不人気だったのが一転、大ブレイクした。ぬいぐるみ、キーホルダーなど多彩な関連グッズが販売された。

オールドメディア

ごく短時間で見られるキャッチーなTikTokや切り抜き動画が拡散され、世論を動かす力を持つようになっている。かたや、新聞・テレビなど歴史あるメディアを「オールドメディア」として不要論まで飛び出す風潮に。

バナー写真:高市首相、左から時計回りに APECのため訪韓(10月30日)、国会の各党代表質問に答弁(11月6日)、トランプ米大統領と米海軍横須賀基地を訪問(10月28日)、南アフリカにてG20に出席(11月22日)、インドのモディ首相と会談(11月23日)全てロイター

日本語 新語・流行語 新語