2025年 スポーツニュースを振り返る

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米大リーグで大谷翔平、山本由伸らが所属するドジャースがワールドシリーズ2連覇。サッカー日本代表が国際Aマッチでブラジルに初勝利、大相撲でウクライナ出身の安青錦が大関昇進など、2025年の主なスポーツニュースを振り返る。(文中敬称略)

日本選手の活躍でドジャース2連覇

米大リーグ(MLB)のロサンゼルス・ドジャースは今季、大谷翔平と山本由伸に加え、佐々木朗希(千葉ロッテ)と契約。大谷が「二刀流」復帰でマウンドにも立ち、山本も申し分のない活躍で、球団はナ・リーグ西地区で優勝した。ポストシーズンも勝ち上がり、ワールドシリーズではトロント・ブルージェイズを4勝3敗で制し、球団史上初のワールドシリーズ連覇を果たした。山本はシリーズ3勝で最優秀選手(MVP)に。大谷は、ナ・リーグのMVPに満票で選出された。

ワールドシリーズ優勝パレードを終え、本拠地ドジャースタジアムでのセレモニーで笑顔を見せる(左から)大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希=2025年11月3日、米ロサンゼルス(時事)
ワールドシリーズ優勝パレードを終え、本拠地ドジャースタジアムでのセレモニーで笑顔を見せる(左から)大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希=2025年11月3日、米ロサンゼルス(時事)

全米野球記者協会の1月の記者投票で、大リーグのシアトル・マリナーズなどで活躍したイチローさんの野球殿堂入りが決定。7月に表彰式典が行われた。米野球殿堂入りは、アジア人で初。

東京で世界陸上開催

世界陸上競技選手権大会が9月13日から21日までの9日間、東京で開催。日本での開催は3回目となった。男子棒高跳でアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)が6メートル30の世界新記録で優勝した。日本勢は男子35キロ競歩で勝木隼人、女子20キロ競歩で藤井菜々子がそれぞれ銅メダルに輝いた。8位以内の入賞総数は、過去最多タイの11。期待の男子400メートルリレーで日本は6位。やり投げの北口榛花は、予選敗退に終わった。

ブラジルに歴史的勝利:サッカー

森保一監督率いるサッカー日本代表「サムライブルー」は10月14日に東京スタジアムで強豪ブラジル代表と国際親善試合を行い、3-2で勝利。14度目の対戦で念願の初白星を挙げた。前半0-2とリードされた日本は、後半に逆襲。南野拓実(ASモナコ)、中村敬斗(スタッド・ランス)、上田綺世(フェイエノールト)が立て続けにゴールを決めた。ゴールキーパーの鈴木彩艶(パルマ)は、再三の好守でブラジルの後半の攻撃をしのいだ。

日本代表は3月、2026年W杯アジア最終予選を、開催国を除いて一番乗りで突破。8大会連続8度目の本大会出場を決めた。11月19日の国際サッカー連盟(FIFA)ランキングで、日本はアジア最上位の18位。

小田が4大大会制覇:車いすテニス

車いすテニスの小田凱人は9月、全米オープン男子シングルス決勝で、グスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)をフルセットで破り、大会初優勝。この優勝で、四大大会とパラリンピックの全てを制して「生涯ゴールデンスラム」を達成した。小田は今季、全仏で3連覇を飾ったほか、ウィンブルドン選手権で2年ぶり2度目の優勝を果たした。

全米オープン決勝でフェルナンデスとの死闘を制し、雄たけびを上げる小田=2025年9月6日、ニューヨーク(AFP=時事)
全米オープン決勝でフェルナンデスとの死闘を制し、雄たけびを上げる小田=2025年9月6日、ニューヨーク(AFP=時事)

女子車いすテニスの上地結衣は今季、全豪で5年ぶりにシングルス優勝。全仏ではシングルス、ダブルスともに制覇して2冠を達成した。この大会で、四大大会シングルスの通算10勝目を記録。全米シングルスでも8年ぶりの優勝を飾った。

山下が全英で優勝:女子ゴルフ

女子ゴルフの西郷真央が4月、海外のメジャー大会、シェブロン選手権で優勝。8月には山下美夢有が、AIG 全英女子オープンで優勝した。全英では勝みなみが2位タイ、竹田麗央が4位となり、日本選手が大きな存在感を示した。山下は2022年、23年の国内ツアー賞金王。24年に米ツアー出場資格を獲得し、本格参戦1年目の今季初優勝がメジャー大会という快挙となった。

全英女子オープンゴルフで優勝し、トロフィーを掲げる山下美夢有=2025年8月3日、英ウェールズ・ロイヤルポースコールGC(AFP=時事)
全英女子オープンゴルフで優勝し、トロフィーを掲げる山下美夢有=2025年8月3日、英ウェールズ・ロイヤルポースコールGC(AFP=時事)

ソフトバンクが5年ぶりに日本一:プロ野球

日本のプロ野球は今季、セ・リーグは阪神タイガースが2年ぶりの優勝。パ・リーグは福岡ソフトバンクホークスが連覇を果たした。両チームの対戦となった日本シリーズは、ソフトバンクが4勝1敗で制し、5年ぶりの日本一に輝いた。シーズン最優秀選手(MVP)は、セが本塁打王と打点王の二冠に輝いた佐藤輝明内野手(阪神、初)、パは12勝3敗、防御率1.46(2年連続最優秀防御率)と申し分のない成績を上げたリバン・モイネロ投手(ソフトバンク、初)が選ばれた。

楽天と米大リーグ・ヤンキースで長くプレーした田中将大投手(巨人)は9月30日、東京ドームでの中日戦に勝利し、日米通算200勝を達成した。日本人投手として野茂英雄黒田博樹、ダルビッシュ有に続く4人目の快挙。日本プロ野球(NPB)単独も合わせると、史上28人目。

前日に日米通算200勝を達成し、セレモニーでモザイクアートを手に笑顔を見せる巨人の田中将大=2025年10月1日、東京ドーム(時事)
前日に日米通算200勝を達成し、セレモニーでモザイクアートを手に笑顔を見せる巨人の田中将大=2025年10月1日、東京ドーム(時事)

サッカーJ1は鹿島がリーグ優勝

サッカーJ1は12月6日、最終節までもつれた優勝争いを鹿島アントラーズが制し、2016年以来9年ぶりとなるリーグ制覇を果たした。2位は柏レイソル、3位は京都サンガ。最優秀選手(MVP)にはリーグ戦全38試合にフル出場し、チームの優勝に大きく貢献した鹿島のゴールキーパー、早川友基が選ばれた。Jリーグカップはサンフレッチェ広島が優勝。天皇杯はFC町田ゼルビアが初優勝した。

大相撲:大の里が横綱昇進

大相撲は、横綱照ノ富士がけがのため1月場所5日目から途中休場。17日に引退が発表された。年寄・照ノ富士となり、6月に伊勢ヶ濱を襲名して伊勢ヶ濱部屋を継承した。1月場所は大関豊昇龍が王鵬、金峰山との優勝決定巴戦を制し、9場所ぶり2度目の優勝。第74代横綱となった。

大関大の里は3月場所、5月場所を連覇し、第75代横綱に。初土俵から所要13場所での横綱昇進は、昭和以降で最速。同じ年に2人横綱が誕生するのは、1987年の北勝海と大乃国以来38年ぶり。

土俵入りする横綱大の里=2025年9月22日、東京・両国国技館(時事)
土俵入りする横綱大の里=2025年9月22日、東京・両国国技館(時事)

日本相撲協会は6月、事前に退職届を提出していた年寄・宮城野(元横綱・白鵬)の意向を認め、9日付けで退職となった。白鵬は記者会見で「悔いは全くない」「(今後は)相撲を世界に広げていくプロジェクトを中心に活動する」と語った。

7月場所は、平幕の琴勝峰が初優勝。9月場所は横綱大の里が、横綱豊昇龍との優勝決定戦を制して13勝2敗で優勝した。

10月には20年ぶりの海外公演となる大相撲ロンドン公演がロイヤル・アルバート・ホールで開催された。

11月場所は、ウクライナ出身の関脇安青錦(あおにしき)が横綱豊昇龍との優勝決定戦を制し、12勝3敗で初優勝。大関昇進が決まった。安青錦はウクライナで相撲とレスリングに取り組み、ロシアのウクライナ侵攻後の2022年4月に相撲を続けられる環境を求めて来日。安治川部屋に入門して23年9月に初土俵を踏んだ。付出を除き、初土俵から所要14場所での大関昇進は史上最速。

11月場所に優勝し、内閣総理大臣杯を受け取る安青錦=2025年11月23日、福岡国際センター(時事)
11月場所に優勝し、内閣総理大臣杯を受け取る安青錦=2025年11月23日、福岡国際センター(時事)

日本でデフリンピック初開催

4年に1度行われる聴覚障がい者の国際スポーツ大会「デフリンピック」が11月15日から26日の12日間、東京などで開催された。日本では初開催。70以上の国・地域と難民チームから、選手・スタッフ合わせ約6000人が参加した。期間中は無料観戦が可能で、目標の10万人を大きく超える延べ28万人の観客が各会場を訪れた。日本勢はメダル51個(金16、銀12、銅23)を獲得した。

バナー写真:サッカーの国際親善試合・日本-ブラジル。後半、勝ち越しのゴールを決める上田綺世 (中央)=2025年12月14日、東京・味の素スタジアム(時事)

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