外国人旅行者が特に不便だと感じるのは何か

「外国人旅行者の受け入れ環境整備」の取り組みも注目される。多言語対応の改善・強化、無料公衆無線LAN環境の整備促進、外国人旅行者向け消費税免税制度拡充が特に効果ありと思われるが、順に見ていくと、一昔前まで日本の標識は「国会前」の下に「Kokkai」と表記するなど、見当はずれなものが多かった。標識、公共交通機関、美術館の展示などが多言語化されれば、外国人旅行者の利便性は向上する。

外国人旅行者に不評なのが、インターネット接続の悪さである。訪日外国人はスマートフォンやパソコンを使って観光情報を収集し、何かに感激したりするとフェイスブックなどで発信することが多いが、日本の無料公衆無線LANは会員限定が多い。

「アクション・プログラム2014」では、総務省と観光庁が協力して、無料公衆無線LAN環境の整備促進のための体制づくりを行うとしている。交通機関、主要観光地、ショッピングセンターなどで無料Wi-Fiスポットを増やし、訪日旅行者に周知させるのが有効ではないだろうか。

消費税増税後の新たな消費けん引の“期待の星”

2014年10月に始まった外国人旅行者向け消費税免税制度拡充も期待大である。日本でのショッピングは、「偽物がない(欧米ブランド物)」「店員が親切」「リーズナブルで高品質(日本メーカーの化粧品など)」というような理由で、アジアの人たちを中心に人気だが、これまで免税対象は家電製品、服、カバンなど消耗品以外で、同一店舗における1日の販売合計額が1万円超とされていた。

10月以降、免税対象が食品、薬品(高品質と意外に人気)、化粧品などの消耗品を含めたすべての品目に広がり、販売合計額も新規の免税対象物品は同5千円超から50万円までとなった(注:家電製品など、既存の免税対象物品は従来通り1万円超)。2020年に向けて、免税店も1万店規模へ倍増させるとしている。消費税増税後、国内消費は冴えないが、訪日外国人の消費は過去最高更新ペースで推移しており、新たな消費の牽引(けんいん)役として期待が高まっている。

一方、理想としてはそうあるべきだろうが、当面実現は難しそうなのが「世界に通用する魅力ある観光地域づくり」である。世界の有名観光地を見ると、ドイツ「ロマンチック街道」、フランス「ロワール渓谷古城群」など、観光地を点ではなく線で結んで誘客に成功している例が多い。日本も、観光庁の観光圏構想など地域連携の観光振興を図る動きもあるが、まだ市町村や県単位で誘致を図る例が多く、道半ばである。

アクセスの拡大・多言語対応推進・無料WiFiサービス拡充は実行あるのみ

最後に、島国・日本が観光立国を目指すにはアクセスの拡大も欠かせない。2014年3月、羽田空港の国際線が3万回増枠され9万回になったが、2000万人、3000万人を目指すにはこれではとても足りない。成田、中部、関西空港のLCC(格安航空会社)対応強化や茨城空港など地方空港の活用、大型クルーズ船誘致のための港湾整備などが必要である。宿泊施設も不足が予想されるので、外国人受け入れに後ろ向きの旅館の意識改革を促すなどして、宿泊施設の増強を図るべきだろう。

「アクション・プログラム2014」にも謳(うた)われているように、日本には「2020年オリンピック・パラリンピック」という大イベントがある。筆者はオリンピックの長期的な経済効果には懐疑的だが、観光立国を本気で目指すには良い契機になると考えている。

2020年をターゲットに空港・港湾の拡充、無料公衆無線LAN環境整備と多言語対応推進などの施策を着実に実行し、2000万人、3000万人という壮大な目標に近づいていくことを期待したい。

(2014年10月20日 記)

タイトル写真:外国人観光客が多く訪れる京都・錦市場(時事通信フォト)

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