観客の心をつかみ映画賞を相次いで受賞

2006年に台湾芸術大学を卒業した北村は、その翌年、今度は台北芸術大学の大学院に進学した。受験の際に提出した作品が、短編映画の『愛你一萬年』。08年の若手映画人のための映画祭「金穂奨」の短編映画賞部門にノミネートされた。作品は台北芸術大学の教員も務め、長い間台湾の「金馬奨」映画祭主席に君臨したプロデューサー・焦雄屏(ペギー・チャオ)の目に留まり、脚本を書き直して長編映画にするよう勧められた。2年の歳月をかけて脚本を書き上げると、チャオ自らがプロデューサーとなり、劇場公開映画として北村の処女作となった長編『愛你一萬年(邦題:一万年愛してる)』が10年に完成する。台湾の人気グループF4の周渝民(ヴィック・チョウ)と日台ハーフの女優・加藤侑紀を主役に、台湾と出身地の滋賀県で撮影した。台湾人男性と日本人女性が90日間の恋愛契約を結ぶところから始まるラブコメディーだ。

『戀愛沙塵暴』より呉慷仁、陳妤、鄧育凱(提供:好風光)

13年には、前述の蕭との共同監督作品として、2本目の長編映画『阿嬤的夢中情人(邦題:おばあちゃんの夢中恋人)』が公開された。台湾の人気俳優・藍正龍(ラン・ジェンロン)と安心亞(アンバー・アン)を主役に半世紀前の台湾映画全盛期へのオマージュとして台湾語が飛び交うラブコメディーに仕上げた。この年の台北映画祭で脚本賞を受賞した他、翌年の大阪アジアン映画祭にも招待され、優れたエンターテインメント作品に贈られるABC賞も受けている。