ないがしろにされた台湾人元日本兵の人権や尊厳
なぜ、台湾人元日本兵やその遺族は、ここまでの仕打ちを受けなければならなかったのか。
台湾南部・高雄にある「戦争と平和記念公園主題館」を運営し、台湾籍老兵の調査・慰霊活動を行なっている高雄市關懷老兵文化協會常務理事の呉祝栄(ご・しゅくえい)氏に聞いた。
呉氏は、この問題は日本と台湾の「二つの政府に責任がある」と指摘する。すなわち、どちらの政府も「人権を重視しなかった」という。日本政府は戦後の経済的困窮を理由に問題を放置し、その後、経済成長を成し遂げたにも関わらず、積極的に対応しようとしなかった。台湾の中華民国・国民党政府も戦後に日本から接収した財産の正当性や取り扱いが議論されることを懸念して、日華平和条約に基づく特別取極の推進には消極的であった。加えてかつての「敵」である台湾人元日本兵の問題には無関心だったのだ。
本来、守られ、尊重されるべき台湾人元日本兵の人権や尊厳は、二つの政府からないがしろにされていたわけである。
