徹底したこだわりから生まれる可能性
馬路村では将来を見据えて、2001年から有機農業によるユズ栽培に力を入れている。ユズ部会190戸のうち、生産者10人が有機農産物の日本農林規格(JAS)認証を受け、全ての生産者が有機栽培に準じた栽培方法で生産している。また、農協が販売する肥料や農薬も全て有機JAS規格内で取り扱い、除草剤は使用禁止と定めている。
村民の50倍に当たる観光客を呼び込み、日本一の人気を誇るユズぽん酢を生産する馬路村。馬路村には現在、約60種類のユズ商品がある。企業誘致をせずに、過疎に多少なりとも歯止めを掛けている取り組みは珍しい、と全国から視察に訪れる団体は、年間250-300件に上る。
東谷さんは、地方にはまだまだ課題はたくさんあるという一方、多くの可能性も秘めていると考える。ユズ栽培に乗り出した頃は3200人いた人口も、今は900人。今後は外部からもっと人を呼び込み、日本一の有機ユズを育て、種から取れるオイルで化粧品を開発するのが夢だ。
ユズの果汁はわずか1滴でも、料理の味を劇的に変える力を持っている。小さな種から育てた実生のユズが大きく実るように、馬路村の地道な村おこしは過疎に悩む地域に夢を与え、今後も形を変えて発展していくだろう。
バナー写真:収穫された馬路村のオーガニックユズ
写真=草野 清一郎


