需要削減のイノベーション
需要サイドのイノベーションとは、具体的に言ってスマートグリッド・スマートメーターをベースとしたスマートビルやスマートハウス、さらにはスマートシティの加速的開発・普及のことである。
日本のオフィスや家庭における冷暖房効率や照明効率は、センサーにインテリジェント機能を付け加えることでまだまだ改善できる。オフィスの再配置や照明反射板などにおける小さなイノベーションを積み重ねることで比類なき高水準の省エネルギーが達成できる。また、幾何級数的に増大するサーバーの冷却に関しても、きめ細かいセンサーと局所冷房技術などこれまで蓄積された技術を存分に発揮できる分野が残されている。こうしたセンサー技術、局所冷暖房、素材開発などは日本製造業のお家芸である。さらに、巨大サーバー群から形成されるデータセンターは、リスク分散上一極集中しない方がいい。そうなると、北海道や九州・中国地方の地下洞窟の利用や、瀬戸内海の犬島で完成された自然光、自然風力を利用した省エネルギー建築などが今後最大限に活用されることとなる。ここでも、日本のものづくり能力の高さが威力を発揮するだろう。
需要サイドのイノベーションこそは、実は日本人が最も得意とする分野なのである。さらに重要なことは、こうして開発された技術はそのまま新興国をはじめとする世界中に輸出できるということだ。
しかし、古いパラダイムにいる人たちには、「脱原発」という方向性はどうしても理解できないものなのかもしれない。ただ、全国平均して三割程度の原発依存度を、大小さまざまなイノベーションを通じて脱却できないというならば、それはもはや日本に未来がないということだろう。かつて、松下幸之助氏は、「3パーセントのコスト削減は難しいが、30パーセントは可能だ」と言ったといわれるし、実践してきたともいわれる。真意は、3パーセントという課題では現状の延長線上で考え、大きなイノベーションは生まれないが、30パーセントとなると発想の転換をもたらすからである。30パーセントは不可能な数字ではない。





