政治家の「男性脳」「女性脳」
いま世界はパンデミックのさなかにあるが、政治家の感性は危機対応にどれだけ影響を与えているのだろうか。コロナ禍対応で注目されたのは、ドイツのメルケル首相、台湾の蔡英文総統、ニュージーランドのアーダーン首相など女性リーダーたちの手腕とコミュニケーション力だった。
「確かに、彼女たちは女性の強みを生かしたと思います。今回のような未曽有の危機のさなかでは、女性脳の感性を最大限に生かして自然体で一人一人に寄り添った、現実的な共感型コミュニケーションがふさわしいかもしれません。日本の自民党政権では、男性脳型感性への偏りがあることは確かです。たとえ女性政治家の数を増やしたとしても、いまの日本では男性のまねをして男性のように振る舞うように訓練された女性しか政権に迎え入れないのでは。(フェイスブックで私生活の一部を共有したアーダーン首相のように)おおらかに家庭での普段の姿を国民に見せて、子どものおむつを替えながら、メッセージを伝えられるような女性大臣はいませんよね」
安倍首相のコロナ対応については、「先が読めない事態で、政府も試行錯誤している様子が伝わってかえってよかったのでは」と言って笑う。「『公平にマスクを配ろう』なんて、届くのに時間もかかるし、欲しくもないのにもらう人が山ほどでてしまう。そんなことにかまけるくらいなら、まず医療現場をサポートしようという感覚があってもよかった。マスクなんて手作りでもいいわけですから。政府は頼りにならないから、自分たち一人一人がしっかりしないとという国民の危機意識を高める効果はあったかもしれません」
政治家に求められる能力は、2つの感性を駆使できることだと言う。「どちらの感性も意識して使い分けることが重要です。ここは共感型コミュニケーション、ここは問題解決型でいこうなど、自分の脳の使い方をコントロールできるのが大人です。特に政治家にはそのコントロール力が強く求められる。ただ、とっさのことはコントロールが難しいので、自分の感性の傾向を把握しておき、とっさの偏りに対してカウンターバランスとなる仲間を持つことです。性別を半々にすることではなく、脳の使い方にバリエーションを持たせるためのダイバーシティが政治の世界になくてはならないものです。ゴール指向問題解決型とプロセス指向共感型をさまざまに組み合わせたほうが、命や国を守れるのです」
撮影=花井 智子
