周辺国・地域との情報交換や関係強化が鍵
とはいえ、あらゆる軍事的オプションを予想し、対応策を考えておく必要がある。差し当たって日本が留意すべきは、バシー海峡から西太平洋上に出て本州を目指す中国軍機の飛行だろう。宮古島にある航空自衛隊のレーダーサイトで、東シナ海から宮古海峡を抜けようとする中国軍機は捕捉できている。しかし、バシー海峡のフィリピン寄り上空から西太平洋上に出られると、そこから先は太平洋上をカバーできるレーダーサイトがないため、軍用機の飛行活動を追うことが極めて困難となる。航空機の速度を考えると、南シナ海方面からバシー海峡に向かう中国軍機の動向を把握できるようにしておく必要があるが、日本単独では無理があるのが現状だ。そこで、考えられる対応策は次の通りである。現状で硫黄島に設置されたレーダーは発着管制用であり、遠距離を監視することはできない。現時点で第二列島線を進出の目安としている中国軍の動向を考えれば、ここで長距離監視用レーダーを運用することは大きな意味がある。これまで日本が太平洋上の島しょにレーダーサイトを設けなかったのは、太平洋側から直接的な脅威を受けなかったからだが、状況は大きく変化しつつあり、早急に太平洋上の監視空域の穴を埋めることが重要となっている。また、バシー海峡を形成する地域との情報交換や関係強化を図る必要もあるだろう。
中国外交は友好一辺倒でも、敵対一辺倒でもない。また、政治目的達成のために軍事的オプションを採るケースもある。経済的にも軍事的にも台頭する中国と付き合いながら安全を確保するために、日本は今以上に知恵を絞らなければならない。中国と殊更敵対的になる必要はないが相応の準備は必要で、柔軟な発想が求められているのである。
バナー写真=統合幕僚監部報道発表資料内のY-8電子戦機とH-6爆撃機の写真を加工(出典:統合幕僚監部ホームページ