子どもたちと一緒に遊戯場づくりを開始
現在、台北市の公園路燈工程管理處・南港公園管理所で股長を務める許耀仁さんは、記者会見を受け「たしかに公園の利用者は、彼女たちやその子どもたち市民だ」と思ったという。実際のところ、改修した遊戯場はにぎわっているとは言い難く、わざわざお金を使って市民に利用されないものをつくっても仕方がないという考えもあった。
そこで台北市は、公園改修の方針を転換。広く市民の声を聞くことに決めた。2014年末に就任した柯文哲市長が、ちょうど各方面で市民の参画を推進していた時期で、その政策方針にも合致した。
2017年1月、市民の声を聞いてつくった最初のインクルーシブ遊戯場が、栄星公園に誕生した。CNSの基準にのっとり、安全を第一としつつも、人造大理石のすべり台やネット、ロープ登りなど、挑戦性の高い遊具が設置され、段差のない砂場に小さなサンドテーブルも備えられた。
メディアで大々的に報道されたこともあり、栄星公園の遊戯場は、週末ともなると大盛況。市民の反響も上々だったという。
台北市は公園の改修を進める一方、2年にわたって、海外よりインクルーシブ遊戯場に関わる学者や設計士らを招き、勉強会を重ねた。その蓄積を活かして2018年2月に誕生したのが、先の花博公園にある遊戯場である。台北市はここを、インクルーシブ遊戯場のモデルケースとした。
この頃には、抗議の記者会見に参加した李さんら母親たちで設立したNPO法人「還我特色公園行動連盟(特公盟)」や、安全性の向上を訴えた「靖娟児童安全文教基金会」、また障害のある子どもたちの権利を訴える「台灣身心障礙兒童權利促進會」などの市民団体が、アドバイザーとして会議に出席するようになっていた。「抗議が終わって、今はパートナー」と李さんは笑う。
また、インクルーシブ遊戯場づくりには、何よりも子どもたちの意見が尊重された。例えば2019年6月に開幕した中央藝文公園・華山大草原遊戯場をつくる際には、7回にわたるワークショップが開かれた。子どもたちは、自らのアイデアを自由に描き、設計士の作った模型に意見し、実際の遊戯場にタイルを貼るところまで関わった。参加した子どもたちはみな、できあがった遊戯場に対して、誇りと愛着を持つようになったという。



