台湾で福島産の食品輸入が解禁に?

良好だと言われる日台間にも、懸案がないわけではない。たとえば東日本大震災時に起きた福島第1原子力発電所の事故以降、台湾は現在も福島県と周辺4県からの食品の輸入を規制している。これは今後、菅政権が台湾と協議しなければならない問題だ。

福島を含む5県産食品の輸入については、2018年11月に台湾で住民投票が行われ、禁輸が賛成多数となり、輸入規制が継続された。だが22年に台湾政府による規制見直しのタイミングがやってくる。先日、台湾では米国産の牛豚肉の輸入規制緩和が発表されたが、范教授は台湾政府はまず21年に正式に米国からの牛豚肉輸入を解禁し、それが政治面で悪影響を及ぼさないことを確認してから、菅内閣と福島など5県からの輸入規制について議論を行うのではないかと見ている。

というのも、台湾はCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)への加盟を目指しているからだ。CPTPPは米国がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)から離脱した後に日本が提案し、主導してきた組織。台湾がCPTTPへ加盟するには、他の加盟国から同意を得る必要がある。もし台湾が中国が世界中から反感を買っている空気に乗じてCPTPPに加入したいと考えるならば、今が絶好の機会だということである。

だが、CPTPP加入のためには、台湾にも準備が必要だと范教授は指摘する。その準備とは科学的根拠に基づく福島県を含む5県産食品の輸入解禁である。そうすることで政治的な波紋を最小限に押さえ、かつ日台間の政治的な摩擦を取り除くことができる。范教授はそのタイミングを21年6月だと予測する。それは、菅首相の任期が終わる21年9月前に日台が交渉のテーブルに付くということを意味する。

李登輝元総統の弔問で台北を訪れ、蔡英文総統と会談を行う森喜朗元首相(台湾総統府提供)
李登輝元総統の弔問で台北を訪れ、蔡英文総統と会談する森喜朗元首相(台湾総統府提供)