日米安保の強化と台湾

前出の淡江大学日本政経研究所の蔡錫勳所長は台湾を巡る国防問題について、南シナ海、東シナ海域は米国との関係を強めていくと見ている。そこで、日本は東アジア地域の安全保障についてさらに多くの戦略的情報を提供することができる。その戦略的情報には中国軍の監視も含まれる。これは政権が菅内閣に交代しても変わることはない。

実際に菅首相は、自民党総裁選の出馬に際し、今後も日米両国は「日米安全保障条約」を基軸としていくことを表明した。注目されていた中国の習近平国家主席の国賓としての訪日は、菅政権になったことで、一旦、リセットされ、日本側によって保留にされる可能性があるという。

しかし、蔡所長はこう指摘する。菅首相誕生を強力に後押しした二階俊博幹事長は、一貫して親中派として知られる人物だ。今後、菅首相がいかに脱派閥政治を行うか、そして台湾に有利な政策・議論が行われるかどうかは、二階の影響力がどこまで及ぶかが鍵を握るだろう。

また、范教授の分析によると、新型コロナウイルスの猛威の中、台湾は着実に「防疫外交」を展開してきた。たとえば20年8月の米国のアレックス・アザー厚生長官の訪台からは、米国と台湾の信頼関係が深まっていることが見てとれる。米国がこのような外交活動を継続すれば、日本も同じように台湾と防疫上の交流をすることになるかもしれない。

いずれにせよ台湾は、今後も日米安保の強化と密接な関係にあり続ける。范教授は、菅首相は外交面での経験は十分とは言えないかもしれないが、自民党の優秀な閣僚と官僚らが菅首相をしっかりサポートするはずだ。

また、菅首相は連日、ブレーンとなる経済、医療、外交の専門家との面談を積極的に行っているが、そのブレーンの顔触れは安倍前首相とは異なる。こうしたことからも、菅首相は既存路線を着実に継承すると同時に、菅カラーを打ち出しながら、政権運営していくと思われる。

バナー写真=記者会見に臨む菅義偉首相、2020年9月16日午後9時、首相官邸(共同)