海外アーティストたちの競演

野外の自然を利用した作品も多い。中里地区の清田山にはインドネシアの芸術家、ダダン・クリスタント(Dadang Christanto)さんが制作した「カクラ・クルクル・アット・ツマリ」がある=写真下。インドネシア独特の音が出る風車を田んぼ一面に配置しており、暑さを忘れさせるような涼しげな音が周囲に響き渡った。

演劇も数本上演され、妻有のブナの森で8月6日夜、野外劇『私と自然―11の夢』が演じられた。東京芸術大学とパリのエコール・デ・ボザールの国際共同プロジェクトとして、子どもの空想を題材に暗闇の中で音と光のショーが展開された無言劇は、さながらシェークスピアの「真夏の夜の夢」をほうふつさせる幻想的な舞台だった。

「まつだい駅」近くの“農舞台”では8月中旬、祖先の霊を迎えるお盆をテーマに「大地の盆」夏祭りが繰り広げられた。

地元住民は「活気」を歓迎、でも予算が少し心配

海外の若者たちが農業耕作体験をするプロジェクトも行われた。芸術祭には06年以来、香港の学生ボランティアが参加してきたが、食料自給率7%という香港の若者たちは真剣そのもの。越後妻有に通い、農業を営むお年寄りたちと共に働く中で、「食」や農業の大切さに気づき、香港で農業を始める者も現れているという。

地元住民は芸術祭をどのように受け止めているのだろうか。十日町駅近くで観光客に無料でお茶と漬物を振る舞っていた地元農家の女性は、「普段は寂しいところだが3年に1度、大地の芸術祭で活気がみられるのはいいこと。でも、運営資金に町が相当な予算を割いていることは気にかかる」と話した。

十日町市観光交流課によると、今回の芸術祭の総事業費は6億円で、国からの補助金は2億3000万円、地元の税金は 1億円が使われた。3年前の前回はそれぞれ4億9000万円、1億円、1億円だった。地方再生・地方創生のためには、行動するしかない。その限りにおいて、決して無駄遣いにはならないだろう。

文・村上 直久(編集部)

バナー写真:草間彌生さんの作品「花咲ける妻有」

(写真はいずれも「大地の芸術祭」実行委員会提供)