政界進出と親友オードリー・タンとの再会

2014年、フレディにとって本格的に政治の世界へ進むきっかけとなる事件が起きる。当時の与党・国民党が中国と締結しようとしていたサービス貿易協定について、社会全体を巻き込んだ反対運動・ひまわり学生運動だ。

当初フレディは、運動の中心となっていた学生らに寄り添いサポートすることが、先輩としての役割だと思っていた。しかし、運動に深く関わるうちに、彼らの将来や生活が危機に瀕していることを強く感じたのだ。その後、運動はリーダーらが中心となって新政党「時代力量」の結党へと発展する。フレディもそれに加わり、2016年、同党から立法院選挙(国会議員選挙)に出馬して初当選を果たした。

「出馬すべきか本当に悩みました。私の選挙区は、高齢化が進む地域で、国民党のベテラン議員が地元に強固な地盤を築いていたので、選挙戦は相当厳しいものになると考えていました。ただ、ひまわり学生運動で若者をあおるだけあおり、身を引いてしまうのはいかがなものか。やるからには誰も成し遂げたことがないようなことをしたい、そう思って出馬しました。その後、考え方の相違から離党して無所属となりましたが、同じように必死になって選挙に臨み、再選を果たしました」

立法院で発言するフレディ・リム氏
立法院で発言するフレディ・リム氏

2020年は新型コロナウイルスの流行で、台湾の防疫対策が世界的に注目された。その中で戦略物資となったマスクを、デジタル技術を駆使して販売店の在庫状況が一目で分かる「マスクマップ」作りを主導したオードリー・タンは、日本でも注目されるようになった。

実は、フレディとオードリーは2000年頃からの親友だ。オードリーはソニックの音楽にほれ込み、フレディはオードリーの天才的な思考や映画「マトリックス」のような電脳的な未来観に夢中だった。

2021年3月9日、立法院のホームページで「開放国会行動方案」(開かれた国会を目指す行動方案)が正式にローンチした。本方案の世話人を務めるフレディ・リム氏(左)とオードリー・タン氏(右)
2021年3月にスタートした「開かれた国会を目指す」プロジェクトでは親友のオードリー・タン氏とともに世話人を務める

「若い頃は、ほぼ毎週末、お互いの家を行き来して、音楽やデジタル技術がもたらす未来の話ばかりしていました。私自身、プログラミングは彼女から習ったようなものです。今思えば空想、バカ話のたぐいだったのかもしれません。それでも本当に楽しい時間でした。

その後、私は音楽活動で、彼女はビジネスで忙しくなり、疎遠になっていましたが、2016年、オードリーが行政院(内閣)のデジタル担当の政務委員に任命されたのです。まさか国政の場で親友と再会するとは思いもしませんでした。

今年、3月下旬の台湾最大のロックフェス『大港開唱(メガポート・フェスティバル)』にもオードリーを招待しました。このコロナ禍で、世界で唯一予定通り開催される大型音楽イベントで、台湾がコロナ対策で成功していることを意味しています。世界にアピールする意味でも、シンボルとなったオードリーへの出演を依頼しました。後日、ライブアルバムとしてウェブでも公開しようと思っています」