台湾に留まるか、日本に戻るか
1945(昭和20)年10月、米軍の管理下に入った台湾総督府は戸籍調査を実施している。これによると、内地人の総人口は38万4847名(軍人は含まず)で、男性20万26名、女性18万4821名となっている。戸数は10万6201戸だった。
興味深いのは「今後、内地(本土)へ帰りたいか」、「台湾に留まりたいか」というアンケートが実施されたことだ。乳幼児を除く32万3269名が対象となっている。
結果は日本本土に戻りたいと答えた者が18万2260名、台湾に留まりたいと答えたものが14万1009名となっている。回答者は男性が15万4749名、女性が16万8520名で女性のほうが多い。このうち男性は6万7654名が台湾に留まることを希望している。
言うまでもなく、当時は情報がなく、敗戦後の日本がどうなっていくのか、そして、台湾がどのような道を歩むのかを予測するすべはない。自らを取り巻く境遇がどのように変化していくのか、誰一人として想像ができない状況だった。
同時に、故郷を棄てて台湾にやってきた人や、台湾の地で生まれ育ち、本土とは縁を持たない内地人も少なくはなかった。こういった人々が抱いた不安の大きさは想像に難くない。この調査を受けた人々は例外なく複雑な思いだったに違いない。
