親中派が天安門事件の風化を恐れる

このことに最も危機感を抱いているのは、香港の親中派であり、中国の中央政府であるのかも知れない。香港社会で極めて不人気をかこっている梁振英行政長官は、最近、若者の「本土化」に対して、「もっと祖国のことに関心を持つべきだ」と語った。これは天安門事件の追悼に対して、「中国という『外国』の事件に対してなぜ毎年、香港をあげて追悼をやらなければならないのか」という疑問さえ出てくる本土派の論調に、強い危機感を抱いたものだった。親中派が天安門事件の風化を恐れるというパラドックスが香港で生まれているのである。

香港で「天然独」を主成分とする本土派がさらに増え、中港関係にどのようなインパクトを与えるか。返還から30年近くとなり、一国二制度50年不変という約束の切れる2047年に向けた折り返し点を越えた香港において、その「台湾化」の成り行きは、その将来を左右するはずである。

バナー写真=4日、香港島の公園で行われた天安門事件27年の追悼集会で、黙とうする「香港市民愛国民主運動支援連合会」(支連会)の参加者=2016年6月4日(提供:時事)