議論を重ねて前に進もうとする台湾

この論争は『BRUTUS』の表紙から始まったことは確かだが、『BRUTUS』の表紙が特に問題だったというより、潜在的にあった「議論の種」が大きく育ってしまったと考えている。

栖来ひかり氏提供

しかし議論は行われないより行った方がいいに決まっているし、発展的な方向にちゃんと進んでいっている。これこそが「台湾の最も美しい風景」なんだと思う。少なくとも、いつも議論を重ねている生真面目な台湾の友人たちの姿は、努力しても変わりそうにない現状に投げやりな日本人の目には、とてもまぶしく映る。

ところで、炎上直後から「自分の好きな写真を表紙に!」という流れで、『BRUTUS』の表紙をはじめ、昔の台湾大衆紙のパロディーを自作できるアプリが台湾のSNSで瞬時に広まった。こうした台湾人のスピード感のあるユーモアには、いつも脱帽してしまう。

さて、問題になった『BRUTUS』を購入したが、上質な台湾旅行の参考になる内容だ。台湾に遊びに行こうと思っている日本人に薦めるのはもちろん、台湾の方々にも「日本人が感じている台湾は、こんなふうにとてもすてきなんだよ!」と伝えたい。今回の表紙が大きく問題視された理由も、台湾の若者に最もセンスがいいと信頼されている日本の雑誌ということから問題が大きくなった。しかし結果的にこれからの日本メディアの「台湾特集」が日本社会の台湾認識を深めるきっかけになれば大変うれしい。

(バナー写真、文中写真はいずれも筆者提供)