台湾の悲哀

こうしたやり取りで盛り上がる中で、大会の閉幕式の前日8月29日に、ある日本の活動団体のトップが、台湾の正名運動グループの台北での座談会に招待された。「2020東京五輪台湾正名推進協議会」幹事長の永山英樹氏である。永山氏は台湾研究フォーラムという団体を率い、台北で挙行された03年の台湾正名運動にも参加している。

「2020東京五輪台湾正名推進協会」は、20年の東京オリンピックで、台湾選手団を「チャイニーズ・タイペイ」ではなく、「台湾」という呼称で迎えようと、日本オリンピック委員会、東京都宛ての署名活動を今年1月から日本各地の街頭で行っている。

台湾で正名運動を行っているグループが今年8月初旬、協議会の東京での街頭署名運動に合流した。今後は歩調を合わせて運動を活発化させようとの合意を受けて、ユニバーシアード開催期間中に永山氏を招いて台北で座談会を実施することになったらしい。

座談会の案内を受け取った筆者が、一般席で座談会を聞いていたところ、突然司会者から指名され、「台湾に住み台湾をよく知る日本人として一言いただきたい」とマイクを向けられた。そのため、以下の要旨で発言した。

「日本人として生まれたことに、ある意味幸せを感じる。台湾にあるような正名運動は起こりえない。このような運動をやらなくてはならないことは、台湾の悲哀と表現したらよいのだろうか。逆に日本の悲哀は、日本自らの歴史を顧みない教育、さらには過去に50年間統治した台湾のことを学ぶことはほとんどない点だ。最近の若者は、日本が米国と戦争したことさえも知らないと聞く。私の使命は、台湾に住み台湾から日本に対して日本人の視点で台湾の現状と皆さんの思いを伝えることにある。同時に、永山氏の正名運動にも協力していくこととした」