「魏徳聖ファミリー」が大集合する映画
この作品は、台湾映画市場に名を残す伝説的作品となった魏徳聖の出世作『海角七号』からちょうど10年という歳月を経て制作された。映画では、懐かしい『海角七号』の主役たちも脇役として登場する。
魏徳聖は最初、彼らを主演として、10年後の彼らの姿を描くことを検討したが、断念した。
「もともとは、彼らに演じてもらいたかった。でも、みんな本当に40歳以上になってしまったので、新しい人たちに機会を与えようと計画を変えたのです。最後のレストランのシーンに、みんな出てきてもらいました」
范逸臣、馬念先、應蔚民、民雄、田中千絵ら『海角七号』のメンバーの他、主演の一人は『KANO』で主題歌を歌った先住民歌手のスミン。『セデック・バレ』で圧倒的な存在感を示した林慶台も、重要な役割を演じるチョコレート職人として登場しており、まさに魏徳聖ファミリーの映画でもある。
過去の作品はいずれも台湾のみならず、日本でも好成績を収めた。日本人にどうして自分の作品が愛されるのか?
魏徳聖は、こんな風に見ている。
「日本の観客は当然、日本に関係した題材なので興味を持つのは分かります。さらに、私の歴史解釈の方法が、善人と悪人を意識的にあえて分けないで、そのまま公平に描こうとしているからではないでしょうか。私は意識的に、日本を美しくも、醜くも、描こうとはしていません。ハリウッド映画や中国、香港映画のように、日本人は全員悪人、ではないのです。なぜ、彼や彼女はあのように行動したのか、ということを私は問うているのです。もちろん私でも答えが出ないものもあります。特に『セデック・バレ』。死んだ方がいいと思うぐらい悩んで苦しみ、それでも結論が出ないものもありました」
魏徳聖は、常に過去の自分をどうやって乗り越えるのかを考えている監督だ。だから、新しい作品はいつも前の作品のイメージを記憶に残している観客の期待を裏切ることになる。次回作は、清(しん)朝による台湾統治が始まる前の台湾の歴史ものだという。しかも三部作。どんな作品になるのだろうか。まずは今年のクリスマスに『52Hz』を楽しみながら、じっくり待ちたい。
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