活字離れの原因はSNSやゲームなどの普及
活字離れは、今に始まったことではない。
僕が台湾で最初の書籍『蒲公英之絮』を出版した2011年、何人かの新聞社や出版社の編集担当から「あと10年早かったら良かったのにね」と言われた。そのときはこの意味がよく分からなかったが、後になって思うと、既に「本の売れない時代」が始まっていたということだ。出版社はどこも初版部数を低めに抑え、それでもなかなか再版がかからない。まだ読者を獲得していない新人にとっては苦しい時代になっていたのだ。
本を読まなくなった原因は、Lineやフェイスブック、ゲームなど人々に強く印象を残すもの、分かりやすく言えば多くの人が「もっと面白い」と感じるものが、世の中にいくつも登場したからだ。これらは概して速くて軽い。さらにいえば刺激的で、お金もかからない(実際には通信料がかかっているが、実感がない)。
世の中が便利になるにつれて、人々が本からそれらに移っていくのは、自然な流れかもしれない。労力のかかる趣味の読書は、一層敬遠されてしまう。しまいには年間読書数ゼロという人が増え、活字離れが急速に進んでいく。
一方で、それを反映するかのようにインスタグラムやYouTubeなど、画像や映像といったビジュアルで訴えるものは爆発的な人気を得ている。文字を書くことを職業としている僕からすると、何とも寂しい限りだが、それでもこうした現象を認めないわけにはいかない。
読書で広がる世界に期待
活字離れは今後も容赦なく進むと思う。ある日、新聞も雑誌も、そればかりかネットニュースでさえ消滅して映像に変わったとしても、僕は驚かない。ただ、この世から本がなくなることはないと思う。なぜなら、本には他では絶対に表現できないものがあるからだ。それは文字の向こう側に広がる世界。限りない想像の翼を羽ばたかせて、それをつかまえる楽しみだ。
今、時代が変わろうとしている。
金石堂城中店の閉店を知った日、僕の頭の中ではさまざまな思いが駆け巡った。
バナー写真=金石堂城中店(撮影:木下 諄一)