琉球藍の関係者も高い関心示す台湾の取り組み

沖縄の琉球藍に目を転じてみよう。国の重要無形文化財となっている「喜如嘉の芭蕉布」など沖縄を代表する工芸品に欠かすことのできない染料でありながら、産地はいくつかの課題を抱えているのだ。

沖縄県が2017年度にスタートさせた5カ年計画の第8次県伝統工芸産業振興計画では、琉球藍について「栽培から製造までの人材が減少し、琉球藍供給に支障をきたしている」として、製造技術の改善や分業化などによる安定的な供給システムの構築が必要としている。国指定伝統工芸品の知花花織についてはより具体的に「原材料の琉球藍の供給量が減少するとともに、品質にばらつきがあり、染色が難しくなっている」と指摘する。

こうした状況に対処するため、沖縄県は2018年11月20日、県工芸技術センターで情報交換会を開き、藍の生産農家や染料の製造者、染め織り作家ら60人近くが意見交換した。琉球藍の供給体制を再構築する上で、こうした取り組みをどこまで実効性のある対策につなげられるのか関心を集めている。

その一方で、台湾では、2017年度に前年度を24.7%上回る81万3000人が沖縄を観光で訪れるなど、もともと沖縄への親和性が高く、沖縄のものづくりへの関心も広がり始めている。琉球藍を使ったのれんを沖縄の工房に依頼したり、沖縄の藍染め工房を見学しにきたりといったケースも出てきた。こうしたことから、沖縄で琉球藍にかかわる人たちの間では、逆に台湾における藍に着目するケースも少なくなく、「沖縄で(天然染料の)琉球藍が手に入りにくくなれば、輸入を考える人も出てくるかもしれない」という声さえ聞こえてくる。

卓也小屋は、台湾の高品質な雑貨を扱う集合店舗ブランド「誠品生活」が9月に台北市中心部にオープンさせた新店舗に進出し、台湾産藍染めのブランド価値は上昇中なのだ。こうしたすう勢を安定的な軌道に載せ、農林産物としての藍やそこから生み出される天然染料としての藍が安定的に取り引きされる環境を醸成することが、藍を使った台湾版アグロフォレストリーを成功に導く鍵となりそうだ。

藍の苗を育てる、2018年10月15日、青陽農園(筆者撮影)

青陽農園でも藍染めアイテムの試作を始めたところだ。葉さんの妹、美宏さん(54)は台北で工芸作家として活動しており、チョウをデザインした藍染めの制作に取り組む。藍染め製品の製造販売だけでなく、農園が柱として取り組んでいる環境教育の体験プログラムに藍染めを組み込むことも展望している。

美しい翼を広げるアオタテハモドキ(葉美青氏撮影)

(参考文献)

  • 行政院農業委員会林務局「第四次森林資源調査」(2015年)
  • 環境省「企業とNGO / NPOのパートナーシップによる世界の森林保全に向けて」(2016年)
  • 国立台湾工芸研究発展センター「台湾藍 草木情―植物藍靛染色技芸手冊」改訂版(2016年)

バナー写真=研修者に話をする傅元陽さん、2018年10月16日、青陽農園(筆者撮影)