日本で大成功を収めたF4

台湾エンタメといえば、アイドルグループF4の存在を忘れてはいけない。日本のコミック『花より男子』をドラマ化した「流星花園」がアジア中で大ヒット。主役のF4を演じた4人の男性は一夜にしてスーパースターとなった。

「流星花園」(台湾版DVD)
「流星花園」(台湾版DVD)
F4の「METEOR RAIN」(日本版アルバム)
F4の「METEOR RAIN」(日本版アルバム)

2002年12月、F4の香港コロシアム(中華圏の日本武道館的存在)でのコンサートに行ったことがある。F4のライブと同じ月の香港コロシアムでは、周杰倫や張惠妹もコンサートを行っている。台湾ポップスが中華圏で成功している。そういう印象を受けた。

ライブの前日、多くの人が集まった記者会見で地域別の囲み会見が最後にあった。「香港」「シンガポール」などと呼ばれるとその地域の記者が皆部屋に入って行く。そしてほぼ人がいなくなったと思ったら、「ジャパン」と呼ばれた。友人と一緒に部屋に入ったら我々だけ。彼らのすぐ前に座り、「F4の4人より少なくてすみません」などと言いながらインタビューをした。

その後ドラマ「流星花園」は03年に日本での放送が始まり、08年には横浜アリーナで2日間、日本武道館で2日間、大阪城ホールで3日間のコンサートを行い、大成功させた。この規模のライブを日本で行えた台湾のアーティストは、今のところ彼らだけだ。

日本人の関心も高まる台湾ポップス

現状はどうだろう。まず台湾に対する日本人の親近感がここ数年高まっているという背景がある。東京を歩けば、こんなにあるの?と思うほど台湾発祥のドリンク店があり、若い女性が列を作っている。ネット上では「東京おすすめ台湾ドリンク店」といった記事も多く見る。書店に行けば多くの台湾紹介本がある。台北・台南だけでなく、東部台湾に特化したガイドブックもある。そんな「台湾好き」が増えたことで台湾のポップスがより日本に入って来やすくなったのではと思う。

また、日本のミュージシャンにとっては、ツアーの一部として台湾でライブをすることがもはや特別ではなくなった。台湾人に言わせると、毎週のように日本人が台湾で活動している感じだそうだ。

もちろん、台湾ポップスが日本で続々チャートインするといった成功はまだ見せてはいない。しかし台湾のアーティストの魅力を感じた日本の会社が、台湾のマネジメント会社と関係を持ち活動を始めるところが増えるのを見るにつけ、希望的観測だが近い将来何かが起こるのではと思うのである。

盧廣仲(クラウド・ルー)という台南出身のシンガー・ソングライターがいる。私は、このアーティストがディープ台湾的な部分と洋楽的テイストの両方を持っているところに感心し、日本でも受け入れられるのではと思っている。周囲の音楽業界の人に盧廣仲の音を聴いてもらうと大抵評判が良い。そんな思いが通じたのか、2017年から日本のワイズ・コネクションという会社がエージェントになった。

盧廣仲は2008年のアルバムデビュー時から才能を高く評価されてきたが、17年に大ヒットしたドラマ「花甲男孩轉大人(邦題:お花畑から来た少年)」に主演し、その演技が評判となり台湾のエミー賞と呼ばれる金鐘奨で主演男優賞を獲得した。ドラマの主題歌も彼によるもので、「魚仔」は今や台湾で最も愛される曲の一つになっている。

盧廣仲(クラウド・ルー)
盧廣仲(クラウド・ルー)

忙しくなった盧廣仲は日本になかなか来られない。しかし日本に窓口があることで宣伝が行われ、17年は400人収容のライブ会場で、18年には1000人規模の会場で、いずれもソールドアウト(完売)にした。18年にはビルボード東京で追加公演も行った。