台湾と山口の狛犬の類似点
冒頭の市来訓子氏や片岡元雄氏は、台湾と山口狛犬に見られる共通点を以下のように指摘している。
- 長い垂れ耳
- 縄のようなねじれた眉
- 半球状の出目
- 阿像の開いた口の上下の牙がくっついて、上あごと下あごがブリッジ状につながっている
- 阿像の口のなかに可動式の玉がある
- 吽像の頭上にこぶのような小さな角がある
- たてがみの巻毛が首の位置に並んでいる
- 身体には線刻の円弧を並べた渦巻文様がある
- 尻尾は毛並にねじりの入った縦尾
- 尻尾を真後ろから見ると、中心の縦尾から左右に巻毛が分かれ、さらに真ん中に蕨手文様(わらびてもんよう)の巻毛がある。
これらは山口県下でも特に、下関市から周南市にかけてみられる特徴だそうで、「山口狛犬楽会」の藤井氏の案内の下、該当する狛犬を訪れた。
下関市にある「亀山八幡宮」の狛犬は、1901(明治34)年に創建された台湾神宮跡(現・円山飯店)近く、剣潭公園の入り口にある狛犬にそっくりだ。台湾に現存する台湾の日本時代の狛犬としては最大で170センチほどもある。亀山八幡宮のものは1874(明治7)年作と時期は30年ほど早く、台湾より小ぶりだが、オカッパ頭のような頭髪や長く垂れた耳、縄のようにねじれた眉、半球状の出目など多くの共通点が見られ、まさしく台湾神社の狛犬の原型と言えそうだ。
台湾中部の彰化県和美の製糖工場内に建立された「和美金刀比羅社」(現・和美徳美公園)に、1916(大正5)年に奉納された狛犬は、山口県山陽小野田市の津布田八幡宮にある1912(大正1)年に製作された狛犬とうり二つだ。西山五郎という石工によって作られたもので、その他、下松市の深浦八幡宮、周南市の二俣神社、同市の賀茂神社の狛犬にも、旧・台南神社の狛犬との類似性が見られた。

