抗議は今後さらにエスカレートする
台湾・移民署によると、2019年1月から4月までの間だけで、400人を超える香港人が台湾への移民申請をした。「逃亡犯条例」が引き起こした「反送中抗議」により、今後は台湾への移民や、場合によっては米国やカナダ、オーストラリアに移民する人の人数がますます増えるだろう。台湾の蔡英文総統はフェイスブックに「香港人が自由と民主を勝ち取ることを支持する、香港政府は誠意をもって対応しなければならない、香港の若者の未来が平和で、大切にできるものであることを希望する」と書き込んだ。
しかし香港の若い世代にとって、未来に対する希望は儚いようにも見える。それでも彼らは抗議を続けている。黄さんは「香港の若者は立ち上がらねばなりません。自らのために闘うのです」と述べた。黄さんは、香港での一国二制度は完全に失敗したと考えている。そして、今回の立法会への攻撃は大きな動きだったと述べた。「政府は引き延ばしをしているだけです。私たちは、行動をエスカレートさせねばなりません。政府が私たちの訴えを考慮しないから、私たちはどうしても行動しなければならないのです」という。
15歳の文さんは、「私たちは自由と民主のために奮闘するのです。5年前(雨傘運動)は失敗しましたが、現在は以前の教訓から学んでいます」と述べた。立法会への突入については、政府が無視するのだから、どうしても行動しなければならなかったとの考えだ。
23歳の劉さんは、「彼ら(中国)がやっているのは、『温水でカエルを煮る』だ」と、古い例えを使って説明した。カエルは水の温度を少しずつ上げていくと、自分が煮えられていることに気づかないとされる。
劉さんによると、香港人が「煮られ」始めてからずいぶん時間が経過した。しかし、「共産党の邪悪な面も学んできました。多くの人が、目を覚ましました」という。劉さんは、「現在の香港は、上流階級の人々が楽しく生活する場所です。でも、一般市民にとっては、懸命に生きねばならない苦しみの土地なのです」とも説明した。
1997年に主権が中国に移されて以降、香港は中国における民主と自由の最前線に立つことになった。中国での人権を支持する「防衛陣地」になったとも言える。しかし22年が過ぎ、現在の香港の自由と人権は、逆に逃亡犯条例によって極めて大きな脅威に直面している。条例改正案が将来採択されたら、香港は過去にはあった司法の独立性を失う。そうならないように、香港の若者の多くが憤り、行動で政府に最も強烈な抗議を突き付けている。香港政府が沈黙し続けるなら、立法会への突入も1回だけとは限らない。それどころか、あらゆる抗議へエスカレートする始まりとなる可能性がある。
バナー写真=筆者撮影

