皮まで食べたい!? ジャムや寒天寄せなどレシピいろいろ

なぜ日本人はこんなにも台湾バナナに魅了されたのだろうか。もちろん、最も大きな理由は、台湾のバナナがおいしいから!に尽きる訳だが。日本人にとって高級なフルーツであったバナナは、「文化的生活」の象徴でもあった。そう、バナナは文化的な食べ物だったのである。

『実業時代』(1929年10月)には、「文化的民衆的となって国民生活上なくてはならぬ食料品バナナが日本人の口に入るまで」という記事が載ったり、『熱帯園芸』(1937年12月)にはバナナの消費が都会に偏っているのは「文化生活が(バナナの消費を)然らしめている」からだという消費傾向の分析が載ったりしている。

1920〜30年代の雑誌には、そんな文化的な食べ物であるバナナを余すところなく味わうためのレシピがさまざま紹介されている。中でも、「え、そこまで食べるの?」と目を引くのがバナナの皮を使ったレシピだ。

美味しいバナナの皮 捨てないで煮て食べませう

バナナの皮はその辺に投げてありますとそれを踏んですべったり、腐りかけると蝿がとまってきたないものですが、これを薄く切って砂糖と塩を加えて十分乃至(ないし)二十分位煮ますと柔かくなりますから、これを冷まして食べますと大変おいしいものです。(『婦人と家庭』1920年10月)

赤塚不二夫の漫画でもおなじみのバナナギャグからはじまるこのレシピは、大真面目においしい食べ方としてバナナの皮のジャム(のようなもの)を紹介している。バナナの皮を食べることが一般的だったわけではないだろうが、『台湾芸術新報』(1935年9月)にも「皮のジャム」にはじまり、「くず煮」「バナナの皮の佃煮」などバナナの皮を満喫するレシピが載っているし、読売新聞の1926年6月5日朝刊にもバナナの皮の寒天よせが紹介されている。バナナ好きを通り超して、もはやバナナ狂の感さえある。

昭和のバナナ熱に当てられたのか、近所の八百屋さんでバナナを手に取った私は、バナナの皮のジャムを作ってみることにした。『台湾芸術新報』掲載の、少し上品なレシピを選んだ。バナナの皮を細かく刻み、ひたひたの水で柔らかくなるまで煮る。柔らかくなったら、裏ごしし、砂糖と塩を適当に加えてよくねって出来上がり。結論から言うと、香りという香りはないのに、妙に生々しいざらざらした舌触りのお世辞にもおいしいとは言い難いものが出来てしまった。皮を煮る時間が少なかったのか、こし器の目が粗かったのか、それともやはり台湾バナナではなかったからなのか…。

バナナに関する各種レシピを紹介(『台湾芸術新報』(1935年9月))
バナナに関する各種レシピを紹介(『台湾芸術新報』(1935年9月))