評伝では対日関係や「台湾の悲哀」に言及
一面に李登輝の生前の功績を整理した「評伝」を載せたのは産経新聞だけだった。評伝の筆者は元台北支局長の河崎眞澄記者。産経新聞では昨年から今年にかけて「李登輝秘録」の長期連載を掲載し、7月末にちょうど書籍として刊行されるというタイミングにぶつかったが、河崎記者はそのシリーズの主要筆者でもあった。
産経新聞の評伝では、李登輝と日本というテーマを中心に取り上げており、李登輝が総統就任後、かつて国民党が行ってきた「反日教育」を改めさせ、「若い世代が公平な目で日本を見て判断し、親しみを感じる傾向が強まったという。反日教育を90年代から加速させた中国や韓国と台湾の差がここにある」と述べているのは、保守的な論調を売りにする産経らしい内容だと言えるだろう。
一方、一面以外の場所で各紙掲載した評伝の中で、バランスの良い読後感を与えたのは朝日新聞だった。筆者は現在、台北支局長を務める西本秀記者。司馬遼太郎との対談で李登輝が語った「台湾人に生まれた悲哀」という言葉を取り上げた。オランダ、清朝、日本、国民党などの「外来政権」に支配されてきた歴史の「悲哀」を背負っているという意識を持ちながら、台湾生まれの本省人として初めての総統として登場した李登輝が「民主化を進める原動力となった」と指摘した。