人気漫画『弱虫ペダル』の作者・渡辺航さんは、自らが監督をつとめる「弱虫ペダルサイクリングチーム」を率いて、2021年11月末に石川県志賀町で開かれた「能登シクロクロス」に参加した。シクロクロスは障害などもあるオフロードのコースを駆け抜けるハードな競技だ。日台をまたにかけて作家・女優として活躍する一青妙さんもサイクリストで、母方のルーツが同じ能登半島の中能登町にある縁で、同大会のアンバサダーを務めた。2人が日台の自転車交流に向けて語り合った。
弱虫ペダル=飆速宅男
一青 実は…この大会が私の人生で初めてのシクロクロス(オフロード自転車競技)です。普段はロードバイクに乗っているのでシクロクロスの概念もルールもよく分かっていません(笑)。今回は驚きの連続でした。芝生や泥地、傾斜角のきつい斜面などが次々と現れて、ハンドルを握りながら緊張しっぱなし。バンカーの砂地では、タイヤを取られて転びそうになりました。よくこのようなコースを走ることができますね。
渡辺 僕は試走のときに、上手な人の走りを見るようにしています。それを少し真似することで、最初は無理だと思ったり、怖いと思ったりしている坂やバンカーも、意外とすんなりと走れてしまいます。ずっと前からシクロクロスの漫画を描きたいと思っています。シクロクロスは、選手はもちろんですが、同じコースを何周もするので、応援する人も見やすくてみんなが楽しめます。
一青 私はサイクリスト歴5年ほどですが、特にヒルクライムが苦手で、『弱虫ペダル』に出てくるヒルクライマーの「巻島先輩」のダンシングを真似しています。台湾では『弱虫ペダル』の翻訳出版だけでなく、昨年実写化された映画も上映されました。中国語のタイトルは『飆速宅男』。直訳すると「すごく速いオタク」です。
渡辺 知りませんでした。でも、確かフランス語版では『En selle, Sakamichi』で、「サドルにまたがる坂道」という意味です。各国によって切り取り方が違うので、台湾版もそれはありだと思います。一青さんは台湾と深いご縁があるようですね。
一青 はい。父が台湾人なので、小学校まで台湾の台北で暮らしていました。渡辺さんは台湾に行かれたことはありますか。
渡辺 まだありません。ただ『弱虫ペダル』を描き始めた後、スポンサーをしていた自転車の選手がレースで台湾に行きました。『弱虫ペダル』のロゴが入ったジャージ着たその選手は、台湾の人たちから熱心に「ぜひ渡辺さんを台湾に連れて来てください!」と声をかけてもらえそうです。うれしいことにたくさんのファンがいるとも聞いていますが、なかなか仕事が休めないから行けていません。

