本当の忍術、本当の武術の極意を伝える
稽古の合間の休憩時間になると、何やら楽しそうな雰囲気で、弟子たちが初見氏の前に列を作り始めた。すると初見氏は、一人ひとりに言葉をかけながら、差し出された掛け軸や色紙に、なめらかな手つきで次々と書画を描いていく。弟子たちはとても大事そうに持ち帰っていく。
武神館の最高段位は十五段であり、この日は五段昇級をかけたテストも行われた。竹の棒の周りにクッションを巻いて皮で覆った「棒剣」と呼ばれる稽古用具を持った試験官に背を向けて正座し、いつ振り下ろされるか分からない棒剣を、感覚だけで避けることができるかを試す。避けられれば合格だ。五段を取ると、道場を開くための免状が得られるとあって、合格した弟子からは満面の笑みがこぼれていた。
初見氏は、これまでの自らの歩みを振り返りながらこう語る。
「武道を究めるのは甘いことではなく、一生懸命修行しないとだめですし、それに心がきれいじゃないといけない。本当の忍術、本当の武道を知ってもらいたいという一心でここまで来ました。道場を開いて約50年が経ち、ようやく後継者が世界中に育ちました。武道の極意を伝えることができて良かった。世界中の弟子たちには、尊敬される立派な人になるよう、これからもどんどん成長してもらいたいと思っています」
取材・文:大西 由花(POWER NEWS)
写真:横山 健



