冒険しない男子とブームを作るチャレンジ女子

日本人なら、タピオカミルクティーは女性、牛肉麵は男性に支持されると考えるだろう。

筆者はこれまで、2000軒を超える台湾の飲食店を取材してきた。最初の頃は、「この店を利用する層は?」と質問すると、ほとんどの店のオーナーはきょとんとした顔をして、「全員」と答えていた。日本では、店によって「20代の女性が多い」「40代のカップル中心」といった答えが返ってくる。台湾では、この料理は男性向け、若者向け、という住みわけがないのだ。ぼろぼろの食堂で上品なワンピースを着て食事する女性もいれば、パステルカラー全開のかわいいカフェでお腹の出たおっちゃんがジュースを飲んでいたりする。

牛肉から出る出汁と塩ベーススープの薬膳塩牛肉麵。舌にじんわり広がる旨味は、もう一口とクセになる味わい。トッピングは醤油ベースと同じく牛肉、チンゲン菜、煮卵、ネギ。
牛肉から出る出汁と塩ベーススープの薬膳塩牛肉麵。舌にじんわり広がるうま味は、もう一口とクセになる味わい。トッピングは醤油ベースと同じく牛肉、チンゲン菜、煮卵、ネギ。

では、なぜ女性向けと思われているタピオカミルクティーがウケて、男性が対象と思われている牛肉麵がブレークしなかったのか。それが日本の食に対する男女の大きな差、未知の味へのチャレンジ精神だ。

日本の男性は、特に食に対して保守的な人が多い。食べたことのないもの、味を想像しづらいものには手を出さない。片や女性は、アグレッシブに挑戦する。知り合いの居酒屋のオーナーが言うには、「新たに開発したメニューを薦めて、オーダーしてくれるのはほぼ女性」だそうだ。

牛肉麵を女性向けにアピールすればよいのかもしれないが、大ぶりにカットした牛肉がゴロゴロ入っているため、健康、美容に敏感な女性が飛びつくメニューとは考えづらい。

日本では魯肉飯もなかなかヒットしない。その理由は牛肉麵同様だ。台湾の味ならなんでもヒットするわけではない。牛肉麵や魯肉飯も、日本人に馴染むまで小さなブームを作る、専門店ではなくメニュー数の多い台湾料理店で展開する、女性向けに野菜を多くトッピングするなどヘルシーなメニュー開発をする……。こうした努力を積み重ねることで、タピオカミルクティーのように30年後、大ブームになっているかもしれない。

台北の伝統市場にある滷肉飯(ルーローハン、撮影:鄭 仲嵐)
台北の伝統市場にある滷肉飯(ルーローハン、撮影:鄭 仲嵐)

バナー写真:「三商巧福」の牛肉麺と「鹿角巷」のタピオカミルクティー