国民投票、早くて2017年末?

安倍首相の強い意向を受け、自民党は秋の臨時国会から改憲案とりまとめの動きを本格化させる見通しだ。そこで与野党の協議の舞台になるのが、衆参両院にそれぞれ設置されている憲法審査会だ。衆参の審査会はこれまでも開催されてきたが、各党がそれぞれ考えを述べ合う自由討議にとどまっている。自民党としては改正に向けた具体的な討議に入り、現行の憲法のどこに不備があり、どういう条項を新たに盛り込むのかといった「改正項目」を与野党で絞り込むことをまずは目指す。

その上で条文案の作成作業を進め、改正原案を策定するという2段階での調整を考えている。政権幹部の話を総合すると、秋の臨時国会で「改正項目」の絞り込みをできるかがまずはポイントだ。年内にここまで行けば、自民党は来年1月召集の次期通常国会で、改正原案の取りまとめに全力を挙げることになろう。改正原案がまとまれば直ちに提出、衆参両院で3分の2以上の賛成で可決し、発議するとの段取りを描く。

国会は法律により、新年度予算案などを審議する通常国会を1月に召集する(会期は150日、1回の延長が可能)ことが定められている。通常国会では予算案の審議が優先されるため、予算関連以外の法案の審議が始まるのは4月以降となるのが一般的。野党が反対する法案の場合、妥協点を探るのに時間がかかり、成立に2、3カ月かかるケースが珍しくない。昨年の通常国会で審議された安全保障関連法は、野党の激しい抵抗で審議が遅れ、与党は会期の大幅延長を余儀なくされている。

これとは別に、通常国会で積み残しとなった法案の成立を図るため、政府は秋に臨時国会を召集(2回まで延長が可能)するのが通例だ。こうした国会の事情を踏まえれば、仮に今秋の臨時国会で「改正項目」を絞り込めても、来年の通常国会で改正条文案の作成作業が本格化するのは4月に入ってからになることが想定される。そして改正原案を提出しても、審議にかなりの時間を要するのは確実。発議するとなれば、会期の大幅な延長が避けられないだろう。

第1次安倍政権時に成立した国民投票法は、国会での改正の発議から60~180日以内に国民投票を実施すると定めている。また投票は、改正の条文案ごとに賛否を問うこととなっている。こうした一連のスケジュールを考慮すれば、国民投票は早くて、2017年末になることが想定される。もし国会での第1段階の改正項目の絞り込み、第2段階の改正原案の作成がそれぞれ遅れれば、国民投票はどんどん「後ずれ」することになる。