くすぶり続ける街頭政治へのムード
野嶋
選挙結果がどうであれ、事前に本土派らが排除されたので、結果に不満が残っていくかもしれません。今後、雨傘運動のようにデモや政府に対する実力行使の行動が起きる可能性はありますか。
倉田
あるでしょうね。ただ、まずは司法での争いになるはずです。選挙が終わった翌日の9月5日には、排除された本土派は司法手続きを始めるとしていますので、当面は法廷の場でこの件は議論されます。結果は予測がつきません。香港の法学者の中でも今回の件が合法か違法かで議論が分かれていて、当分は結果を見守ることになります。ただ、司法でもダメだった場合は、体制に訴えて出るのは無理ということで、リョン氏などは「そうなると革命だ」と言っています。つまり、抗議デモを中心とする街頭政治です。
来年の3月に行政長官の選挙があります。次の政治的な話題はそちらに移っていきます。選挙がある限り、政治的な話題は香港社会で大きなウェイトを占め、街頭政治への動きにつながります。いつ起きるかは予測が難しいです。来年3月の新しい行政長官の選ばれた後はある意味、可能性がもっと高まります。3月以降は選挙が当分ありません。選挙が無いと政府は通すのが難しい政策や法律の審議を進め始めます。国家安全条例の制定を含んだ香港基本法23条の立法も、再び可能性として出てきます。立法化されれば、本土派、独立派の人々は非合法化されて弾圧の対象となります。23条を導入する動きが進めば、2014年と同じような運動になりかねません。

野嶋
香港社会で人気が全く無い梁振英行政長官が再任される可能性はあるでしょうか?彼をすげ替えることで、香港人の批判的な感情を沈静化させられるという見方もありますし、民主派もそこを強く求めていますね。
倉田
梁振英行政長官が留任する可能性は高いです。途中で行政長官を変えるのは北京からみれば、ある種、敗北を認めたことになります。長官本人は辞める意思はなく、続けたがっています。本気で続けたい人を辞めさせるには相当な圧力をかけなくてはならず、難しいことです。ただ、彼はカメレオンとも言われていて、その都度立場を変えてきます。今は何をいっても選挙で不利になるので、できるだけ表に出てこないようにしていますね。