高齢者見守り活動で自治体と提携

時代の変化に対応したコンビニの進化はめざましい。宅食サービスなどが結果的に地域で1人暮らしの高齢者を見守る機能も果たしている点に、各地の自治体も着目している。

セブン-イレブンは2013年11月に福岡県と高齢者の見守り事業「見守りネットふくおか」の協定を締結した。それ以降、行政側からの問い合わせが多く、2015年9月末段階で、福岡、大阪、千葉県などの164の自治体と「高齢者見守り活動に関する協定」を結んでいる。10月には、埼玉県内で初めて熊谷市と協定を結び、今後も自治体からの要請が増えることが予想される。

主に見守り活動が中心だが、食事のお届けを通じて始まった活動は日々増えている。セブン-イレブンでは、コンビニ店舗での高齢者雇用にも積極姿勢を見せている。「話し相手が少ない高齢者にとって、コンビニで店員らと交わす日常の会話は貴重なコミュニケーションの機会で、コンビニ店舗自体が地域社会の拠点となりつつある」

食品を扱う宅配ビジネスの市場規模は、各種調査によると拡大傾向にある。生協や有機野菜などを扱う業者に加え、これまで店舗営業のみだったスーパーも買い物客への宅配サービスに乗り出している。背景には、女性の社会進出や高齢化・過疎化による「買い物弱者」の増加があるが、大手スーパーやコンビニの拡大を受けて、かつて地元で「御用聞き」の主役だった酒屋さんなどが減り続けていることも挙げられる。

セブン-イレブン、イトーヨーカドーなどを傘下に収めるセブン&アイ・ホールディングスは、地域社会と連携した高齢者支援に力を入れている。

変化するお客の要望を見極める

セブン-イレブンは1970年代の開業当初、文字通り営業時間が「午前7時から午後11時」までだった。それがバブル期の1990年代以降、全店舗の80%超が「24時間営業」体制をとりはじめた。「コンビニはご近所のお客さまに育ててもらい、ここまで成長した」(青山セブン・ミール社長)という。シニア層に照準を置いたサービスにはそうした経緯もある。

地域のコンビニ店舗の従業員たちが「セブンミール」の弁当などを宅配し、御用聞きサービスを行えば、「次に来る時には○○も持ってきて…」といった追加注文も入る。顧客に密着した宅配サービスの副次的なメリットでもある。「お客様が要望されることが変化していくので、それを見極めながら今後もそれに対応したサービスを考えていく」と青山社長は語る。バリエーションはいくらでもある。

高齢化社会が進む中でコンビニ業界にとっても、シニア向けビジネスには追い風が吹いている。統括する本部とフランチャイズ店とのタッグによるシニア向け市場戦略は、宅食サービス以外でも展開されそうだ。

(編集部・原田 和義)

タイトル写真=1974年にオープンしたセブン-イレブンの国内1号店・豊洲店(東京都江東区)と、宅配サービス用の電気自動車/時事通信フォト