「日本人よ、胸を張りなさい」と言い続けた蔡焜燦さん

蔡焜燦さんは「台湾に残っている日本」を日本人に向けて語った。そして、日本の統治が台湾社会にどれほどのプラスの面を与えたかを力説し、「日本人よ、胸を張りなさい」という例の名文句でわれわれを鼓舞した。戦後の植民地統治=悪という単一的な歴史観に慣れきった多くの日本人には、台湾の人からこうした声を聞くことは衝撃的であり、目を見開かれる思いを与えた。

蔡焜燦さんは、台湾においては成功したビジネスマンの一人だったが、日本においては「老台北」であり、台湾を訪れた日本人に優しくも厳しい「蔡焜燦学校の名校長」であった。享年90歳。司馬遼太郎さんは「蔡焜燦さんの履歴を聞くだけで、台湾の戦後経済史を学習することができる」と述べているが、その言葉通りの見事な一生だった。ご冥福をお祈りしたい。

バナー写真=台湾歌壇の創立50周年記念大会に出席した蔡焜燦氏、2017年4月23日、台湾台北(時事)