党内権力構造

大型インフラ整備計画の予算成立が交代のめどであったようだが、蔡は8月15日の全島大規模停電での失態が、ユニバーシアード台北大会の成功と盛り上がりによって覆い隠された絶妙のタイミングを選んだ。これにより、林には傷がつかない形(つまり林を選んだ蔡の威信に傷がつかない形)で円満な交代を印象付けることに成功した。

民進党の立法委員や県市長らは、フェイスブックで林への称賛と惜別を次々に発信した。最近まで陰に陽に林に不満を漏らしていたのがうそのようである。民進党はこうした演出が非常にうまい。

民進党内を大きく分けると、新潮流派(+蘇派)と反新潮流派の各派(謝派や游派など)が競合し、旧陳水扁派もいて、その上に蔡派が乗る形になっている。蔡への党内支持は固いが、林主導の人事への不満があり、それが独立派の長老の口を通じて明かされ、最近は批判の口調が高まっていた。頼は独立派(特に独立派の長老の世代)の受けが良いので、これで独立派の批判はかなり静まるであろう。

頼は新潮流派で、他派のやっかみは受けるが、党内のナンバー1と2の協力態勢ができたことで、蔡政権は安定する。頼は蔡を支え、蔡も頼を切れない。雑音は常に発生するが、新潮流派があまりにひどいポスト専有をしなければ、20年までは党内の各派・各人とも蔡頼体制を支えるであろう。

新潮流派は民進党立法委員団の最大派であり、同派を中心に民進党立法委員が行政院長の頼を積極的に擁護するようになる。これも林時代よりプラスに転じる要因だ。蔡頼体制ができたことで、民進党は選挙に突き進んでいく推進力を得たと言える。