日本のファンにも知られるFancy Frontier

こうした多数のACGないし同人誌イベントの中で、日本でもアニメファンの間で知られているのがFancy Frontier(開拓動漫祭、FF)である。

これは台湾の広告会社「杜葳広告」が出資した月刊アニメ情報誌『開拓動漫画情報誌Frontier』と、それらが母体の台湾動漫画推進協会が主催する同人誌即売会である。ちなみに執行長(事務局長)の蘇微希氏は、90~93年アニメ情報誌『神奇地帯』(尖端出版)で活躍して注目された台湾きってのACG研究家でもある。

FFは日本で一般に「台湾のコミケ」と呼ばれている。実は前記CWTの方が歴史は長く、規模も若干大きめであるが、女性向けのイベントである。そして「漫画博覧会」は同人誌イベントではない。そこで、ジャンルを問わず、声優も毎回招くという総合性からFFはそう評価されるのだ。

FF30の会場前に設置された案内、2017年7月29日、台湾台北(撮影:酒井 亨)

第1回の「FF1」は、2002年10月5、6日に台北市世界貿易センターで開かれた。その後は、年2回、夏(7月末か8月)、冬(1月末か2月)に開かれ、直近では17年7月29日に30回目が開かれた。会場は台湾大学体育館をはじめ、ここ数年は花博公園争艶館が使われることが多い。

直近のFF30は、不運なことに台風接近のため2日目の7月30日が中止になってしまった。しかし主催者側は急きょ、8月26、27日に花博の近くの会場を借りて開いた。この機動性は日本をはじめ世界のアニメイベントの関係者から注目され称賛された。

ブースは02年の初回には2日間で456だったが、その後、回を追うごとに増加している。17年2月11、12日に開催されたFF29ではサークル数750、ブースは1000以上を数えた。入場者数も会場外にいるコスプレイヤーを除いて、チケット購入入場ベースでは8万人を超える。

FFは開催のたびに、コスプレの奇抜さが目を引くため、『自由時報』など台湾の日刊紙やテレビ局に取り上げられ、今では知名度も高い。それにあやかってか、FF26(15年8月29日)には台北市の柯文哲市長、FF27(2016年1月30日)には蔡英文総統も出席して話題を集めた。

台湾の同人誌即売会は、日本のコミケ以上の熱気がある。それは台湾の場合、日本よりも同人誌サークルが「展示即売会における売り上げ」に生活を依存しているケースが高いためだ。だから、必死なのだ。台風で2日目が中止になったFF30に対して、主催者側がすぐに臨時のイベント30.5を用意したのも、同人誌サークルに生活がかかっているということもある。逆にいえば、日本以上に日本アニメの市場性が高いということでもある。ここに台湾の親日の在り方を垣間見ることができる。

FFは日本のアニメファンの間でも有名だ。筆者は日本のアニメショップである絵師(アニメ的なイラストレーターをこう呼ぶ)がFFに出品した作品を「台湾のFFにだけ特別出品したレアもの」という紹介がされていたことに驚いた。FFはそれだけ価値が高いものだと日本のファンにも認識されているのだ。

日本からのサークルの出展や来場者が年々増えている。FF29では、日本からのサークル数は台湾との合作を含めると、750のうち120を数えた。日本の「コミケ」とも交流し、アニメイベントの国際連合体「International Otaku Expo Association(IOEA/国際オタクイベント協会)」にも加盟するなど、国際交流も進めている。日本以外でも香港やマレーシアからの来場や出展も多い。