インクルーシブの核は多様な人たちの参画
これまで利用者の声を聞く機会のなかった設計士や遊具メーカーも、市民が参画する形の遊戯場づくりを通して、本当に望まれているものが何なのか初めて知ることができた。以前は海外で安全検査の済んだ遊具を輸入して設置するだけだったが、次第に国内でカスタマイズ遊具をデザイン、生産することが増えるようになり、台北市の公園はさらに多様に、豊かになっていった。
公園處の許さんは言う。
「みんなに利用してもらえるインクルーシブな遊戯場をつくるには、多様な人に参加してもらう必要があります。子どもたち、保護者、地元住民、また車椅子の人や弱視の人、聴覚障害のある人など、多様な人に関わってもらって初めて、あらゆる人が遊べる遊戯場ができるんです」
つまり「インクルーシブ遊戯場」とは、誰しもを包摂する場を表すと同時に、誰しもが参画できる遊戯場づくりの過程をも指しているのだ。それこそがインクルーシブの核となっている。
台北市が公園改修の方針転換をしてから約5年。現在では台湾各地の自治体も、「缶詰式」とは一線を画す、地域の文化や特性を活かした「特色公園」づくりに乗り出している。その全てにインクルーシブ遊戯場が備わっていたり、市民が参画していたりするわけではないが、台北市から始まった、真に利用者の方を向いた公園づくりの動きが、台湾全土に波及していることに注目したい。
そして折しもこの春、東京にも都立公園として初のインクルーシブ遊戯場が誕生する。場所は世田谷の砧公園と、府中市の府中の森公園。東京都は、今後も同様の遊戯場を増やす方針を示している。さらに渋谷区や豊島区、品川区も、導入に向けて検討中だという。
私は間もなく1年の台北暮らしを終えて帰国するが、日本でも子どもと一緒にインクルーシブ遊戯場で遊べるようになるとは、うれしいかぎりである。
バナー写真=台北のインクルーシブ遊戯場(筆者撮影)
