まな板:ヒバは天然の抗菌成分でカビ知らず―精密部品メーカー開発の樹脂製は皿としても活躍
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日本固有の高級木材
一般家庭では手頃な価格で軽くて扱いやすい、樹脂製のまな板が広く普及しているが、料理人にはこれを好まない人も多いという。飯田屋の6代目社長・飯田結太さんは「包丁が刃こぼれするのは、食材のせいじゃないんです。まな板が堅いとダメージを受けやすい。刃当たりがいいのはやはり木製、プロが好むのは青森ヒバです」と話す。
ヒバは、ヒノキ科のアスナロと、その変種のヒノキアスナロのこと。日本固有の樹木で、国内のヒバの8割は青森県に集中しており、秋田スギ(秋田県)、木曽ヒノキ(長野県)とともに“日本三大美林”に数えられる。
ヒバは成木になるまでに200年以上を要するが、木目が緻密で丈夫。天然の抗菌成分・ヒノキチオールを含むのも大きな魅力だ。「木のまな板はカビが心配、という人にも自信を持って薦められます。衛生的だし、なんといっても香りがいい」と飯田さん。清涼感あふれる芳香で、まな板を出すたび気分が上がりそう。
こうした特長を知ってか、外国人も青森ヒバのまな板を買っていく。客から「映画で和食の板前が使っていたのと同じ物が欲しい」とリクエストされたこともあるという。

まな板売り場を案内する飯田屋のスタッフ。木製、竹製、樹脂製など素材はいろいろ
自動車部品メーカーが開発「まな板になる皿」
テーブルの上で食材を切って、そのまま皿としても使える便利なカッティングボードの注目株は、真っ黒い円盤型。「ちょっとチョップして(刻んで)、そのまま出せる」から、その名も「チョップレート」。ガラス繊維を含む特殊な樹脂でできている。
開発したのは、プラスチック精密加工に実績のある大阪府・堺市の老舗メーカー。家電や車の部品製造がメインだが、「技術を生かしたい」と初めて商品開発に挑戦したのが、畑違いのまな板だった。
陶器のような見た目なのに、軽くて、落としても割れない丈夫さが自慢。微細な凸凹加工で、傷が目立ちにくい。縁のわずかな立ち上がりは、汁気がこぼれるのをせき止める。耐熱温度200度で電子レンジ調理OK、食べ終わったらそのまま食洗機へ。「皿としても使えるまな板」は2021年に発売されるとたちまち話題となり、累計販売数22万枚を突破する大ヒット商品となった。「似たようなものがないのか、海外の方にもよく売れます。特にアジア圏が多いですね」
天然の抗菌作用と爽やかな香りが魅力の、伝統的な木製。ユニークなアイデアと技術が革新的な樹脂製。どちらも日本らしさが光る逸品だ。
【今、訪日客に売れている!ひと味違う「和の料理道具」10選】
撮影=野村和幸(特に記載のある画像を除く)
バナー写真:青森ヒバのまな板と「チョップレート」


