新語・流行語・今年の漢字

「2016新語・流行語大賞」候補30語

社会

今年の世相を表す言葉を決める「2016 ユーキャン新語・流行語大賞」(自由国民社『現代用語の基礎知識』選)の候補30語が発表された。SMAP解散、都民ファースト、PPAP、ポケモンGOなどが選ばれた。

「声に出す流⾏語より⽂字による⾔葉が氾濫」

年末恒例となっている「ユーキャン新語・流行語大賞」の2016年の候補語が、11月17日に発表された。

国内だけでなく海外でも大きく取り上げられた「SMAP解散」、シンガーソングライター・ピコ太郎によるヒット曲「PPAP」、爆発的ブームを引き起こした「ポケモンGO(ゴー)」をはじめ、30語が選ばれた。

8月に小池百合子知事が就任した東京都政に関連して「都民ファースト」など4語が選ばれたほか、「EU離脱」「トランプ現象」など、日本にも衝撃を与えた海外の出来事に関する言葉も登場した。

2016年はネット発の⾔葉が多かったことから、大賞事務局は「声に出す流⾏語より⽂字による⾔葉が氾濫」したとし、「例年と比較すると、各分野でバランスよく⾔葉が⽣まれ、豊作ともいえる年」とコメントしている。

トップテン、年間大賞は12月1日に発表される。

No. 候補語 No. 候補語
1 アスリートファースト 16 センテンススプリング
2 新しい判断 17 タカマツペア
3 歩きスマホ 18 都⺠ファースト
4 EU離脱 19 トランプ現象
5 AI 20 パナマ⽂書
6 おそ松さん 21 びっくりぽん
7 神ってる 22 ⽂春砲
8 君の名は。 23 PPAP
9 くまモン頑張れ絵 24 保育園落ちた⽇本死ね
10 ゲス不倫 25 (僕の)アモーレ
11 ⻫藤さんだぞ 26 ポケモンGO
12 ジカ熱 27 マイナス⾦利
13 シン・ゴジラ 28 ⺠泊
14 SMAP解散 29 盛り⼟
15 聖地巡礼 30 レガシー

候補語解説

No. 1
アスリートファースト

小池都知事は、2020年東京五輪・パラリンピックの会場計画や開催費用の見直しを求めている。その中で、競技施設建設では選手を第一に考えるべきと発言した。

No.2
新しい判断

安倍晋三首相は6月1日、現行8%の消費税率を10%に引き上げる時期を2019年10月に先送りすると表明。首相は、当初15年10月に予定していた増税をいったん17年4月に延期した際に「再び延期することはない。断言する」としていた。このため、再延期は世界経済が直面するリスクを受けた「新しい判断」と述べた。

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No.3
歩きスマホ

歩きながらスマートフォンの画面にクギ付けになる人が増え、混雑した場所での衝突、駅のホームからの転落などが近年問題になっていたが、スマホ向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」の大ヒットで、その危険性が改めてクローズアップされた。


歩きスマホの危険性を啓発するNTTドコモ制作の動画

No.4
EU離脱

英国で6月23日、欧州連合(EU) からの離脱の賛否を問う国民投票が行われ、離脱派が勝利。EU市場の拠点として英国に進出する日本企業が多いことなどから、投票結果は日本でも衝撃を持って受け止められた。

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No.5
AI

グーグル子会社が開発した囲碁の人工知能(AI)「アルファ碁」が 3 月、韓国のトップ棋士イ・セドル九段と対戦し、4勝1敗で勝利した。ゲームが複雑な囲碁で人工知能が人間に勝つのは 10 年先だとも言われていただけに、AIの早い進歩が注目された。


グーグル傘下の英グーグルディープマインド社による「アルファ碁」の解説動画(英語)

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No.6
おそ松さん

赤塚不二夫の名作ギャグ漫画「おそ松くん」に登場する六つ子が成長してニートになった設定のテレビアニメ「おそ松さん」(1~3月放送)が、女性を中心に人気を集めた。六つ子の声に人気男性声優が登用されたこと、兄弟間の関係性を女性視点で楽しめることなどが、その背景とされる。

No.7
神ってる

プロ野球セ・リーグの広島カープが25年ぶりのリーグ優勝を果たした。緒方孝市監督が6月18日、鈴木誠也選手の神懸かり的な活躍(2試合連続サヨナラ弾)にこの言葉を用いて以来、球団全体の好調ぶりを指すようになった。監督は長男や次女の口癖を参考にしたという。

No.8
君の名は。

16 年最大のヒット映画となることが確実な『君の名は。』。夢の中で体が入れ替わった田舎町の女子高校生と東京に住む男子高校生が、時空を超えて引かれ合い、奇跡を起こすさまを描く。興行収入は年内に200億円を超える見通し。

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No.9
くまモン頑張れ絵

4 月、熊本県で最大震度7の地震が2度にわたり発生した。ネット上では熊本県のマスコットキャラクター「くまモン」が被災者支援の象徴となり、ツイッターでは「#くまモン頑張れ絵」「#くまモンあのね」というハッシュタグ(検索用文字列)が登場。くまモンのイラストを投稿して被災者を勇気づけようとする運動が起こった。九州出身の尾田栄一郎(「ワンピース」)、諫山創(「進撃の巨人」)ら、著名な漫画家も次々と「くまモン頑張れ絵」を描いた。熊本県は被災者支援目的であれば、使用許諾は不要と発表し、くまモンの絵とともに多くの応援メッセージが届けられたほか、募金活動なども行われた。

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No.10
ゲス不倫

16年は、さまざまな著名人の不倫が週刊誌に暴露された。特に注目を集めたのは、「週刊文春」が 1月 に報じた、タレントのベッキーとロックバンド「ゲスの極み乙女。」のボーカルで妻帯者の川谷絵音(えのん)との交際。バンド名をもじって「ゲス不倫」と名付けられ、他の不倫騒動も総称する言葉になった。

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No.11
斎藤さんだぞ

メンバーが共に頭髪が薄い男性漫才コンビ、トレンディエンジェルが15年末の漫才コンテスト「M-1グランプリ」で優勝。ボケ担当の斎藤司がスーツの上着を開きながら、「斎藤さんだぞ」と口にするギャグなどが流行した。

No.12
ジカ熱

ヤブカ属の蚊によって媒介されるジカウイルスによる感染症が、15年ごろからブラジルなど中南米で流行している。16年2月には世界保健機構(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言。小頭症を含む先天異常やギラン・バレー症候群の原因になることが明らかになっており、世界的に警戒されている。

No.13
シン・ゴジラ

12年ぶりに日本で製作された『ゴジラ』の最新作。同シリーズで、観客動員 500 万人を超えた作品は、50~60年代の6本のみ。ゴジラの出現を国家的危機としてとらえた今回の作品は、550 万人以上を動員し、ゴジラ映画の全盛期と肩を並べた。

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No.14
SMAP解散

1月にメンバー4人が解散を希望しているとスポーツ紙や週刊誌が報じた後、テレビの生放送で全員がそろって解散を否定し、騒動を謝罪した。しかし8月14日、年末で解散することを報道機関へのファックスなどで発表した。

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No.15
聖地巡礼

アニメやドラマ、ゲームの舞台になった場所や地域が「聖地」となり、多くの人々が「巡礼」に訪れる現象。近年、アニメファンを中心に広まりを見せ、16年は『君の名は。』に描かれた岐阜県飛騨地方を「巡礼」する人が急増した。ゲーム「刀剣乱舞」で擬人化された日本刀に興味を持ったファンが、本物の刀を見学するために美術館や博物館に足を運ぶような例もある。

No.16
センテンススプリング

「週刊文春」に報じられた川谷絵音との交際について、ベッキーは不倫関係を当初否定した。文春は続報で、両者がスマホ通信アプリ「LINE」で交わしたとされる会話を暴露。不倫であることを自ら認識するような表現が含まれていたため、ネット上での批判が加速した。2人がLINEで使った隠語、「卒論」(離婚届)や「センテンススプリング」(文春)なども話題になった。

No.17
タカマツペア

リオデジャネイロ五輪・女子バトミントンダブルスで、五輪の同種目として日本初となる金メダルを獲得した、高松礼華(あやか)と松友美佐紀のペアに付けられた愛称。

リオデジャネイロ五輪・パラリンピック日本選手団のメダリスト合同パレードで、「自撮り」するバドミントンの松友美佐紀(左)と高橋礼華(ともに日本ユニシス)=10月7日、東京都中央区[代表撮影](時事)

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No.18
都民ファースト

小池百合子東京都知事は就任後初の職員への訓示で、「何よりも都民ファーストを徹底してもらいたい」と呼び掛けた。

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No.19
トランプ現象

ドナルド・トランプ次期米大統領は、選挙中の過激な言動で白人労働者層を中心に支持を得た。日本国内では安全保障や貿易を巡る発言を受けて、今後の米国との関係に不安も生じている。

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No.20
パナマ文書

パナマの法律事務所モサック・フォンセカのタックスヘイブン(租税回避地)に関する内部資料約40年分を、匿名の告発者から南ドイツ新聞社が入手し、「国際調査報道ジャーナリスト連合」が4~5 月に公開。日本の企業や個人の名前を含む文書もあり、注目を浴びた。

No.21
びっくりぽん

NHKの連続テレビ小説「あさが来た」(15年10月~16年3月放送)が高視聴率を記録。明治時代の女性実業家、広岡浅子をモデルにしたヒロインが驚いた時に使う、この口癖が流行した。

No.22
文春砲

週刊文春による相次ぐスクープがこう呼ばれた。ベッキーと川谷絵音の不倫に加え、2月には宮崎謙介衆議院議員(当時)が妻(金子恵美衆院議員)の妊娠中に他の女性と交際していた疑惑を文春が報道。同誌は不倫以外のスクープも連発し、甘利明衆院議員側の都市再生機構(UR)の土地買収を巡る口利き疑惑、プロ野球・読売巨人軍選手による野球賭博などを報じた。

No.23
PPAP

お笑い芸人の古坂大魔王が扮(ふん)するシンガーソングライター、ピコ太郎の楽曲「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」が世界を席巻。「YouTube」にはPPAPを歌う動画が多く投稿され、同サイトの「ミュージック全世界トップ100」で日本人の曲として初の1位を獲得した。10月19日付の米ビルボード週間総合チャートでは77位で、日本人で26年ぶりのトップ100入りとなった。

No.24
保育園落ちた日本死ね

2月15日、匿名ブログに「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した文章が書き込まれた。育児中の母親と見られる人物が「(議員が)不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園増やせよ」などと訴えた。保育園の待機児童が問題になる中、衆院予算委員会の質問でこの文章が引用されたほか、書き込みに賛同する人たちが国会前で抗議行動を起こした。

No.25
(僕の)アモーレ

サッカー日本代表でイタリア・セリエAのインテルに所属する長友佑都と女優・平愛梨の交際を、 写真週刊誌「フライデー」が6月に報じた。長友は報道陣の取材に自ら応じ、「(平は)僕のアモーレ。イタリア語で愛する人という意味です」と熱愛をはっきりと宣言。この発言は好感を持って世間に受け入れられ、「◯◯のアモーレ」という言い方が流行語となった。

No.26
ポケモンGO

衛星利用測位システム(GPS)と拡張現実(AR)の技術を応用したスマホ向けゲーム「ポケモンGO」が世界的に流行した。国内では、“自殺の名所”とされる福井・東尋坊にプレーヤーが集まるようになり、8月の自殺志願者がゼロになるという効果があった一方、自動車運転中のプレーによる歩行者死亡事故などの問題も引き起こしている。

珍しいキャラクターが出現するスポットとされる錦糸公園で、「ポケモンGO」に夢中になる人たち=8月1日、東京都墨田区(時事)

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No.27
マイナス金利

日本銀行は2月、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部について、マイナス0.1%の金利を適用する措置を導入。預け入れに手数料を取られる形となるため、金融機関が日銀に預金する代わりに企業などへの貸し出しを増やすことを狙う。

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No.28
民泊

民家に観光客を有料で泊める「民泊」の本格的な解禁に向けて、政府は17年の通常国会で法制化を目指している。米国のAirbnb(エアビーアンドビー)社などのネット仲介で広がった民泊は、訪日外国人急増による宿泊施設不足への切り札として期待される一方、ゴミや騒音といった近隣トラブルなどの課題がある。

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No.29
盛り土

小池都知事は8月31日、11月に予定されていた東京・築地市場(中央区)の江東区・豊洲への移転を延期した。知事は延期の根拠の1つとして、ガス工場があった移転先の土壌の安全性への懸念を挙げたが、9月10日に新市場の主要施設棟の地下で汚染対策の盛り土が行われていなかったことが発覚。豊洲に移転できるのか、不透明感が増している。

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No.30
レガシー

国際オリンピック委員会(IOC)の五輪憲章は「オリンピック競技大会の有益な遺産を、開催国と開催都市が引き継ぐよう奨励する」と定めている。2020年東京五輪・パラリンピックの遺産として何を残すかを議論する際に、この言葉がしばしば用いられる。

(文中敬称略)

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