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富士山を世界遺産登録

文化

日本を象徴する国内最高峰の富士山(3776m)がユネスコの世界文化遺産に登録された。正式名称は「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」。日本の世界遺産はこれで17件となった。

「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」を含む「日本の世界遺産一覧」最新版(2017年7月現在)はこちら

国連教育科学文化機関(ユネスコ)は2013年6月26日、カンボジアの首都プノンペンで開催した世界遺産委員会で、日本政府が推薦した「富士山」(山梨、静岡両県)を世界文化遺産に登録した。富士山は古来、日本の象徴として日本人の山岳信仰や葛飾北斎らの浮世絵の題材にもなり、文化的意義が評価された。これで日本の世界文化遺産は13件となり、4件の自然遺産と合わせ、日本の世界遺産登録は合計17件となった。

「三保松原」を含め登録

世界遺産は、1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて、世界遺産リストに登録された遺跡や景観、自然など人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」をもつ不動産をさす。

富士山は当初、世界自然遺産として登録を目指したが、ゴミの不法投棄などによる環境悪化や開発により本来の自然が保たれていないなどの理由で、文化遺産登録を目指す方針に転換した。対象となった「構成資産」は山頂の信仰遺跡群や富士五湖などを含む25件。正式名称は「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」と決まった。

ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」が4月に富士山の世界遺産登録を勧告した際には、富士山から45キロ離れた「三保松原」を対象から除く条件付きの勧告となった。しかし、日本側の各国への説得が実り、最終的には富士山を駿河湾越しに臨む三保松原の文化的価値が認められ一括登録された。一方、イコモスが「不登録」を勧告していた「武家の古都・鎌倉」(神奈川県)については、最終的に推薦を取り下げた。

日本の世界遺産は17件に

日本では1993年12月、法隆寺地域の仏教建造物(奈良県)、姫路城(兵庫県)が国内で最初の世界文化遺産に同時登録された。それ以降、2011年に登録された「平泉」(岩手県)まで12件ある。また世界自然遺産は、1993年に同時登録された屋久島(鹿児島県)、白神山地(青森・秋田県)のほか、知床(北海道)、小笠原諸島(東京都)の4件。

世界全体では2013年6月時点で、981件の世界遺産(うち文化遺産759件、自然遺産193件、複合遺産29件)が登録されている(条約締約国190か国)。

日本のユネスコ世界遺産

登録対象 登録時期
文化遺産
法隆寺地域の仏教建造物(奈良県) 1993年12月
姫路城(兵庫県) 1993年12月
古都京都の文化財(京都府、滋賀県) 1994年12月
白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜県、富山県) 1995年12月
原爆ドーム(広島県) 1996年12月
厳島神社(広島県) 1996年12月
古都奈良の文化財(奈良県) 1998年12月
日光の社寺(栃木県) 1999年12月
琉球王国のグスクおよび関連遺産群(沖縄県) 2000年12月
紀伊山地の霊場と参詣道(奈良県、和歌山県、三重県) 2004年7月
石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県) 2007年6月
平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群(岩手県) 2011年6月
富士山―信仰の対象と芸術の源泉(山梨県、静岡県) 2013年6月
自然遺産
屋久島(鹿児島県) 1993年12月
白神山地(青森県、秋田県) 1993年12月
知床(北海道) 2005年7月
小笠原諸島(東京都) 2011年6月
 
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