“モノづくりのまち”が培った技術力

町工場の密集率日本一を誇る、“モノづくりのまち東大阪”の地がBubble90の誕生には大きく関わっている。
高野代表はIT企業勤めを経て、起業したばかりの時に、節水グッズの通販を手伝ってもらいたいと頼まれた。その商品を見て、「自分ならもっと良い商品を作れる」と奮い立ったことが、開発のきっかけだったという。
「節水グッズを調べていくうちに、世界中で水の問題がどんどん深刻になっていることを知り、参入を決めました。うちの父親は東大阪で町工場をやっていて、非常に高い技術を持っています。僕がアイデアを考えると、通常は製作に何日もかかるような試作品を数時間で作ってくれたのです。それが、開発効率を上げてくれました。僕は父親の事業は継いでいませんが、技術を継承させてもらったと思っています」(高野代表)

コンパクトなスペースに所狭しと並べられた世界最高峰のマシーン

しかし、大きな賞を受賞し、海外でも好評を得ていたBubble90でも、ヒットするまでは時間が掛かった。
「開発当初、日本ではLED電球ブームで、企業では節水よりも節電に目を向けていました」(高野代表)
2011年の東日本大震災によって発生した、福島第一原発事故の影響も大きい。それが拍車をかけ、公共機関や企業では照明のLED化を筆頭に節電に力を入れた。そのため、節水グッズを採用しようとする動きは非常に少なかった。

「そこで、東京に仲間とセールス会社を設立し、飲食店を中心に営業するスタイルに変えました。最初はなかなか採用されないので、お試しで飲食チェーンの1店舗に無償で設置してもらったんです。すると、数か月後に『すごいコスト削減効果だ!』となって、数十店舗での採用が決定しました。その後は、同じ方法でどんどん顧客を増やし、さらに口コミも加わって、一気に発注が増えたのです」(高野代表)
名を聞けば日本人なら誰でも知る大手飲食チェーンに数多く設置され、2年前には3人だった従業員が今では、グループ全体で50人を超えるまでに成長した。

一つ一つ丁寧に削り込まれるBubble90

世界の水資源に貢献する

現在、Bubble90は業務用のみの展開で、まだ家庭用は販売されていない。これだけの節水効果があるので、ぜひ実現して欲しいところだ。
「今までは、飲食店からの発注だけで生産はギリギリ、セールス部門も手一杯の状況でした。少しずつ、体制が整ってきたので、17年度には家庭用の販売を目指したいと思っています」(高野代表)
実際、飲食店以外にも、学校や病院、工場の手洗い場などで使用されている。珍しいケースだと、有害物質に汚染された部品の洗浄に使い、結果として汚染水を平均10%程度に減らすこともできる。

世界的な異常気象によって水資源の減少や汚染が心配されている昨今、確実に実績を積み上げているBubble90には、環境保全での貢献が期待される。
「もともと、Bubble90は洗浄用の蛇口に使われ、使い捨ての流し洗いに使われる水を減らす、環境に優しい製品です。日本では、水道の節水量がCO₂削減量にも換算されます。また、お湯用もあり、こちらはお湯の使用量を減らすことで、電気代やガス代の削減にもつながり、トータルな省エネができるグッズと言えるでしょう。今後は開発施設を増やし、海外生産も開始する予定です。アイデア、技術力、加工力を最大限に活かしたモノづくりと営業体制をしっかりと整え、世界中の人にBubble90を使っていただけるようにしたいと考えています」(高野代表)

自ら最先端の工作機械を操り、開発・製造に取り組む高野代表
写真・動画撮影=三輪 憲亮
取材・文=ニッポンドットコム編集部