番外編:中国映画祭「電影2019」からおすすめ映画2本

日中国交正常化45 周年の記念企画として2018年からスタートした中国映画祭の2回目となる「電影2019」(主催:文化庁、公益財団法人ユニジャパン、上海国際影視節有限公司)が、3月6日から10日にかけて東京と大阪で開催。さまざまなジャンルから厳選された上映6作品は全て日本初上陸だ。その中から日本にも関わりのある2本を紹介しよう。 

中国映画祭「電影2019」公式サイト

『アイランド 一出好戯』:スー・チーらアジアのトップスターが屋久島で一大ロケ

2018 ©SHANGHAI HANNA PICTURES CO., LTD. BEIJING ENLIGHT PICTURES CO., LTD. SPRING NET MEDIA HUOER GUOSI CO., LTD. HORGOS HAPPY PICTURES CO., LTD.
2018 ©SHANGHAI HANNA PICTURES CO., LTD. BEIJING ENLIGHT PICTURES CO., LTD. SPRING NET MEDIA HUOER GUOSI CO., LTD. HORGOS HAPPY PICTURES CO., LTD.

2019年の旧正月向けに大ヒットを記録した中国のパニック映画『流浪地球』と同様、地球スケールで始まるコメディー映画。

巨大隕石が落下して地球が最後の日を迎えるとの噂が世界を駆け巡る。風采の上がらないサラリーマン(ホアン・ポー)が心を寄せる同僚(スー・チー)らと乗った水陸両用車は巨大津波に巻き込まれ、気が付けば無人島に漂着していた。 「世界が滅びた」と確信した彼らは、必死に島からの脱出を試みる。

無人島生活の中で共同体が形成され、貨幣が成立し、権力闘争が生まれる過程には、文化大革命など厳しい時代を経験してきた中国の歴史と照らし合わせて身につまされる観客も多いだろう。高度成長で物質的な豊かさを手にした中国の人々が天災を機に改めて生き方を考えるようすは、バブル崩壊と震災を経験した日本人にもよく分かる。コメディーながらシリアスな人間模様にも説得力があり、二転三転する展開は見応えがある。撮影地は美しき日本の世界遺産・屋久島。

監督・主演は中国版『101回目のプロポーズ ~SAY YES~』などの作品で人気のホアン・ポー。 ヒロイン役を、中国人の間に北海道ツアーブームを生んだきっかけの一つと言われる『狙った恋の落とし方』で主演を務め、アジア全域で絶大な人気を誇るスー・チーが熱演している。中国映画祭「電影2019」からはすでに2作品の日本公開が決まっており、この作品も東京国際映画祭と同時に開催される「中国映画週間」などでの上映に期待がかかる。

作品情報

  • 英語タイトル=The Island
  • 監督=ホアン・ボー
  • 出演=ホアン・ボー、スー・チー
  • 中国公開=2018年8月10日
  • 上映時間=134分

予告編

 

『駐在巡査 宝音』:北野映画の柳島カメラマンが初めて中国に

©Haining Blue Hometown Production Co., Ltd
©Haining Blue Hometown Production Co., Ltd

中国・内モンゴル自治区における警官の実話に基づく物語。

少数民族の警察官・宝音(ボヤン)は毎日、中国で最も広い担当地域を一人バイクで見回っていた。ふだんの仕事は放牧民同士のいざこざの仲裁や、鉱石工場の労働者の身分証登録など穏やかな案件ばかり。静かに流れていた彼の日常が外地から来た女性の殺人事件をきっかけに徐々に変化していく。

中国映画『駐在巡査 宝音』で撮影を担当した柳島克己(撮影:ニッポンドットコム編集部)
中国映画『駐在巡査 宝音』で撮影を担当した柳島克己(撮影:ニッポンドットコム編集部)

ヤン・ジン監督の熱烈オファーを受け、『ソナチネ』など北野武監督作品を多数撮影してきた日本人カメラマン柳島克己が初めて中国映画の製作現場に乗り込み、内モンゴルの荒野を背景に展開する物語を淡々と写し取った。

柳島はこの作品での経験について、「クランクイン3日前の現地入りで台本も再確認が難しく、昼間の撮影可能な時間が短いなど大変なこともあった。乾燥し風が強い中でヤギやラクダの糞を相当吸い込んだ」と打ち明ける。撮影自体は監督からほぼ任され、役者の演技が映える色彩面の提案を受け入れてもらえたといい、柳島にとって日中協力の成功に充実感を得られた仕事だった。画面の大半を占める乾いた土の色に対し、朝夕の光を利用して撮影した自然の美しさ、ラマ教寺院や少数民族の結婚式の華やかな色彩との対比が見どころの一つだ。

作品情報

  • 英語タイトル=Patrolman Baoyin
  • 監督=ヤン・ジン
  • 出演=ボヤンネメフ、バダマー
  • 中国公開=2018年12月19日
  • 上映時間=97分

予告編

バナー写真:『家族のレシピ』©Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale