「福島」を自分の目で確かめ、客観的に語りたい

野嶋  「福島、元気?」の反響はかなり良かったようですね。

陳昱築さん  われわれもびっくりしています。日本人の方が多く駆けつけてくれて、涙を流して見てくれて、われわれに「ありがとう」と何度もお礼を言いながら帰る方々が多かったことには、二重に驚きました。これは本当に予想していませんでした。日本のメディアも、NHKも含めて、多くのメディアが取り上げてくれました。

野嶋  展示会はどのぐらいの観客動員でしたか?

陳さん  展示会は11月24日から始まり、その日は午後だけで1400人が集まりました。その次の日曜日の26日は、4000人が来てくれました。合計で1万3000人です。華山1914文創園区という場所も良かったのでしょう。ネットで盛んに宣伝して、日本に興味がある人、日本に行ったことがある人、福島に関心がある人が集まってくれたのだと思います。

アンケートへの反響も9割ぐらいは良いものでした。「本当の福島の状況が分かった」「福島を自分の問題として考えることができた」などの声がアンケートで寄せられました。もちろんマイナスの意見もありました。「日本政府のためにやっているのか」とか「食品の輸入を進めようとするのか」といった意見ですが、ごく少数でした。

野嶋  なぜ、このプロジェクトを立ち上げようと考えましたか?

陳さん  私は、台湾大学で日本語を学んだのですが、当時は台日学生交流会議を立ち上げて、日本の学生たちと交流していました。しかし、大学を卒業した後はしばらく日本との交流を離れていました。最近、自分で独立して起業したので、自分でも何かもう一度、台日交流について何かやってみたいと考えたのです。

台湾ではとにかく福島に対して、マイナスの報道が多く、情報が偏っているため、福島そのものに対する恐れや不安がとても強くなっていました。しかし、メディアですら、あまり実際に福島に出掛けて実情を伝えていませんでした。私たちは自分の目で確かめてみて、客観的に語ってみたいと思ったのです。できるだけ中立な形で「福島」を考えてもらうことを心掛けました。