大きかったVCの存在

増澤 日本のベンチャー・コミュニティで、キーマン的な人物を挙げるとすると。

川邊 最初はやはり西川潔氏。初期の頃は常に、ネットエイジとデジタルガレージがあり、ちょっと違うところにソフトバンクがいて、この3つがインターネット産業の母体だった。西川氏は常に目立った存在だったが、実はデジタルガレージの林郁氏や伊藤穰一氏とかはコミュニティ形成のキーマンだったと思う。さらに、全く自らは関与していないが、コミュニティにすさまじい貢献をしたのが孫正義氏。

途中からはVCが出てきて、NILSは堀義人氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナー)とかグロービス・キャピタルだし、ここから出た小林雅氏(ICCパートナーズ 代表取締役)とか小野裕史氏(インフィニティ・ベンチャーズLLP共同代表パートナー)とか、B Dashだと渡辺洋行氏(B Dash Ventures代表取締役)。また、その間に若者を信じて一貫して投資を続けてきている松山太河氏(East Venturesパートナー)とか、こういう人たちがコミュニティをつくってきた。松山氏は孫氏がNASDAQジャパンをつくる時にかなり関与しており、ベンチャーがEXITする際の環境整備にも尽力したと思う。

ネットエイジ創業者の西川潔氏(左、2006年撮影)とソフトバンクグループの孫正義社長(時事)

増澤 こう見ると、投資家の存在がかなり大きいようだ。

川邊 成長資金を供給する役割。これは時代もマッチしていた。2000年代に大企業が投資意欲を落としていった中でベンチャーは意欲旺盛だし、ベンチャーはそこそこの資金で事業を回せるので、VCもリーズナブルな投資の対象だったと思う。

堀 ずっとこの間に投資を続けてきた松山太河氏、JAFCO、グロービス・キャピタル・パートナーズはスタートアップ企業の育成に大きな役割を果たしたのではないか。ネットエイジも含めてだが。

優秀な若い起業家たち

増澤 VCの人たちの後押しで日本のベンチャー村は発展し、そこから出てきた企業家たちが投資家に回って循環が生まれ、雪だるま式に成長するという図式が見て取れるが。

堀 最近の新しい流れとしては、大学生がインターンとしてスタートアップ企業で働き、卒業を待たずに自分で起業するという例が増えている。

川邊 手法はインターンシップの間に学んでしまっているわけだ。「日本で一番優秀な学生は官僚になり、次は大企業に行く。米国のように優秀層が起業家になるなんてことはない」と昔は言われたが、状況は全く変わってきている。若い起業家は年々優秀になっている。そういう人たちを見ていると、日本のベンチャー村の先行きにはなかなか期待できると思っている。

(インタビューは2018年5月9日、東京・紀尾井町のヤフー本社で行った)

インタビュー写真撮影:川本 聖哉

バナー写真:(左から)聞き手の増澤貞昌氏、川邊健太郎氏、堀新一郎氏。その右側の大きな絵は、Yahoo! JAPAN公開20年を記念して制作された「インターネットの歴史」の絵巻物

(*1) ^ 新規株式公開(IPO)や合併・買収(M&A)による投資回収

(*2) ^ IPOやM&AによるEXITがこれまでどのくらいあるかという実績