中産階級が抗議の中心に
中産階級について、社会運動の研究者で作家の呉強は、スモッグ政治における中心的役割を担っていると指摘。その背景として、中産階級の資産が拡大し、中国で最も発言権を持つ階層になったことを挙げている。そして、この中国で最も活発な集団は、政治や環境問題への関心が高く、地域的なスモッグ問題を全国的な関心事へと展開することができる。スモッグ政治は過去のGDP中心の経済モデルを徐々に消滅させ、政府や官僚の地位に直接影響を与える、これが中国の中産階級が運動に及ぼす役割だと述べている。
また、呉は香港のネットメディア端伝媒でも「意外性のある、生き生きとした新中産階級が、スモッグの中で急速に形成された。『早く蓄財して急いで移民しよう』という移民志向の他に、SNSによる結社化や非公式の場での大量の不満表明、そして予想もつかない小規模な抗議行動を取るようになった」「当局が人権派弁護士を弾圧、学校での政治思想統制を強化、そして都市化が急速に進んだことで、スモッグ政治に代表される中産階級による政治が、それまでの権利擁護運動に代わり、密かに拡散している」と指摘し、その例として成都の抗議活動を挙げた。
現在、中国当局は「維穏」(治安維持)の技術やノウハウを高め、あらゆる反対表明の動きの芽をもつもうとしている。だが環境問題、さらにはその根源にある体制そのものが持つ欠陥が解決されない限り、人々の不満は従来の市民運動とは違った形で表出する可能性が高い。新たな形での意思表明や政治参加は、スモッグのように拡散し、当局のコントロールはますます困難になるだろう。こうした動きにネット社会がどのように関与するのか、今後も注目していきたい。
バナー写真:深刻な大気汚染の中国で、マスクをして踊る人々(ロイター/アフロ)