台湾各地を精力的に取材し報道
私と中川さんが知り合ったのは、中川さんが所属していた台北東海ロータリークラブの例会の席である。今年1月に台湾で出版した拙著『台湾、Y字路さがし。』をご存知だった中川さんが「今度取材させてほしい」と声を掛けてくれたのだ。
歩くだけで汗が噴き出すような暑い日で、台北古亭駅で待ち合わせをし、そこから川沿いにある日本統治時代の料亭「紀州庵」までを歩いた。中川さんと歩いた小さな旅は6月19日付の西日本新聞紙上で、『Y字路探し時間旅行』というタイトルの記事になった。私との散歩を軸とし、書籍の中の言葉を引用しながら、中川さんによって完成された一篇(ぺん)の上質な「街歩きエッセー」だった。
その他、中川さんによってこの1年間に書かれた署名記事をまとめて拝読したが、特に目立った特集や連載に以下がある。
- 台湾人も含めた当時の日本人10万人以上が太平洋戦争中に沈んだバシー海峡の戦没祭について「『船の墓場』日台結ぶ」(2016年12月24日付)
- 228事件で若者たちを守り、自らが犠牲になった台南の弁護士・湯徳章(坂井徳章)を取り上げた「台湾の若者守った日本人」(2017年1月4日付)
- 台湾屏東竹田郷で、日本人が寄贈した図書を基に開設された日本語図書館を通した日台交流を伝える「日本語図書館 日台結ぶ」(2017年1月28日付)
- 2011年の東日本大震災のときに大きな義援金が送られた背景を小説として描いた在台30年の作家・木下諄一さんの『アリガト謝謝』について「被災地支えた台湾物語~250億円の募金活動を小説化」(2017年3月21日付)
- 桃園の原住民タイヤル族の歴史を知る「先住民の権利 命がけ闘った」(2017年4月17日付)
- 日本統治時代に育った台湾人が立ち上げ創立50年を迎えたグループ「台湾歌壇」の日台をつなぐさまざまな思いをつたえる「『愛日』短歌に50年」(2017年4月21日付)
- 花蓮の日本人移民村・豊田村跡を訪ねた「開墾、風土病と闘った移民村」(2017年5月1日付)
- 世界最長の38年間に及んだ台湾の戒厳令から30年目を迎えた台湾の様々な声を伝えた。「台湾 弾圧の時代忘れない」(2017年7月16日付)
- 戒厳令中に政治犯が収容された離島・緑島について書いた「台湾戒厳令解除30年~弾圧の闇 監獄島は語る」(2017年8月21日付)

反日デモを取材中の中川さん、台湾台北、2017年7月7日(撮影:産経新聞台北支局 田中靖人)
こうしてみると、1年という短い時間でどれほど精力的に台湾各地へ足を運んでいたかがよく分かる。中川さんとの共通の友人で、蔡英文総統の自伝を翻訳した九州大学研究員・前原志保氏は、「知らない事柄があっても、言葉が分からなくても、取材対象の懐にぐんと飛び込んでいく大胆さと熱意があった」と中川さんを評した。